厚生労働省は、ギャンブル依存症の治療に来年度から健康保険を適用する方針を固めたようです。
日本でもカジノ解禁というIR法が議論される中で、ギャンブル依存症については注目されてきました。
ちなみにギャンブル依存症についてはちゃんと定義があります。
WHO(世界保健機構)は、ギャンブルを頻繁に繰り返し、自分の社会・職業・家族的価値を損なうほど生活を支配する障害という定義で精神疾患としています。
我が国におけるギャンブル依存症は年々増加しており、平成29年には3499人、が治療を受けたとのことです。この数字以外にも治療を受けていない人や自覚がない人もいるでしょう。
2年前に国の補助を受け、国立病院機構久里浜医療センターが行った調査があるんですが、これによると、依存症が疑われる人は全国に約320万人いるという推計になりました。成人1万人を対象にした調査で回答者が4685人、そのうち生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人は成人の3.6%となり、住民基本台帳に照らし合わせると約320万人に相当するという結論です。
これについては、以前ブログでも書きました。
※関連記事 NO! パチ NO! スロ NO! ギャンブル依存。YES! ○○○ 2019.08.28
この調査によれば、もう日本は人口比世界一のギャンブル依存症大国です。
ギャンブル等依存症が疑われる者の割合 (生涯)
国 報告年 対象数 ギャンブル等依存症が疑われる者の割合
日本 2017 4,685 3.6%(男性6.7%、女性0.6%)
フランス 2011 529 1.2%
ドイツ 2009 10,001 0.2%
スイス 2008 2,803 1.1%
オランダ 2006 5,575 1.9%
カナダ 2005 4,603 0.9%
イタリア 2004 1,093 0.4%
国立病院機構 久里浜医療センター調べ
簡単に言えば、「ギャンブル依存症の人が多い国、それが日本である。だから健康保険治療しよう」と言うことでしょう。
具体的にはアメリカ、カナダ、オーストラリアなどで開発された「集団認知行動療法プログラム」などを参考にした集団療法プログラムを複数人で受けるという治療です。すでに35の医療機関で181人を対象に、このプログラムで治療を試み、治療前と後では明確に差があったと思われる結果だったそうです。すなわちギャンブル依存は増えていてるからこそ、治療をやらないよりやった方が効果がある。これは当たり前のことだと私は思います。
今回の検討は、中央社会保険医療協議会というところで議論されてきていますが、保険適用には反対論も出たようです。
それは、「ギャンブルの保険適用を許せば、ゲームやスマホの依存症も保険治療を認める事につながるのではないか?」という反対論だったようですが、確かにその通りです。
言っときますが、日本にカジノはまだ一つもないんです。ギャンブルとしてあるのは、競馬・競輪・競艇、そして法律的にはギャンブルではないけれども、パチンコです。にも関わらず、日本はギャンブル依存症が世界一。
おかしくない?
はっきり言いましょう。
原因はパチンコです。これを野放しにして患者が出たから保険で治療する。
おかしくないか?って、私は思うんですけれども、これから日本にできるカジノはギャンブル依存症対策として、入場料金6000円、週3回まで月10回までしか行けないんですね。
はっきり言いましょう。
ギャンブル依存症の人を減らすには、パチンコもそうした方がいいですよ。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。