会社の接待と贈答品

私はバブル時代の申し子で会社オーナーの秘書も経験しているので接待や贈答品がどのようなものだったか、それなりに理解しているつもりです。ただ、あれから二世代ぐらいたったわけで企業と税務署の交際費の考え方の変遷もあり、あの時の狂ったような接待とはまた違った形が残っているのかもしれません。

北米にきて思うのは接待や贈答は少ない点でしょうか?私が当地で開発事業をガンガンやっていた当時でさえ、クリスマスの頃に5000円-10000円程度のギフトバスケットが建設業者から5-6個、あとはチョコレートの箱が5-6個といったところだったと思います。会社の経費で贈答という発想はありますが、割と質素というのが正直なところです。

今年のクリスマスもいくつかの法人のお客様には小さなクリスマスギフトを差し上げましたが、せいぜい3000-5000円程度のものです。もらう方は今年はゼロでした。ちなみに法人からくるクリスマスカードも年々減ってきていますが、今年は電子版も入れて10枚ないかもしれません。弊社も電子版クリスマスカードは今年から廃止しました。

非常にドライな関係、これが北米のビジネスなのだろうと思います。あくまでも案件ベースでビジネスライクな付き合いというのが見て取れます。ただし、食事の接待はまだありますがビジネスではランチの接待が主体でディナーは少ないです。

先日、弊社の社員が「金曜日、〇〇社のクリスマスイベントに招待されたので午後2時で帰ってもいいか?」というので「なぜ2時?」と聞けばハッピーアワーと称する多くのレストランが行う飲み物食べ物を通常値段の3割-5割引きにする2時から5時のアイドルタイムにその会社のクリスマスパーティを開催するというのです。その会社も考えたものです。そして接待される側も5時には接待が終わり、家に普通の時間に帰れるのです。まさにウィンウィンの北米風接待かもしれません。

ドライなビジネスが慣れてしまったせいか、逆にお誘いを受けても接待は受けないようにしています。個人的な信条なのですが、「接待を受けると次の請求が高くなる。だから接待は受けないに越したことはない」と考えています。

一方の日本は秋元司議員のようになにかギブアンドテイクがお好きな方はいまだに多いような気がします。日経の記事に「接待の効果に陰り 売上高10万円生む交際費、2割上昇」とありますがその本文に中小企業は接待が800万円まで損金算入できるとあります。ここでいう中小企業は資本金1億円までという意味で私の極小の日本の法人でも当然そういう扱いになります。

これはおかしいと思います。日本の交際費は誰と交際するのか不明瞭で社内向け飲食が多かったりします。ましてや家族経営の小さな会社なら経営者の飲食や自己満足に費消することは可能になります。ここはもうちょっときちんとした線引きをすべきではないでしょうか?日本が交際費天国といわれるのは法人の費用支出を狙った政府方針が背景にあったと記憶しています。(これが厳しくなるといわゆる夜の店の経営に響くともいわれました。私は淘汰させればよいと思いますが。)

多くの企業は経費の節約は大事だと考えています。また接待はする方も大変ですが、される側の立場に立つと「面倒くさい」と思っている人も多いものです。接待するなら自分の金で飲み食いした方が気楽と思うのは私だけではないでしょう。

日本の接待文化も時代とともに形を変えていくのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年12月26日の記事より転載させていただきました。