「黄金の2020年代」の始まりか……

西暦2020年が明けた。令和2年目のスタートだ。同時に、20年代の始まりだ。今後10年間が人類にとって過去のそれより大きな変化に直面する期間となるだろう。それが「黄金の10年」となるか、「暗黒」「停滞」の10年となるだろうか。

▲地球に接近する小惑星(欧州宇宙機関=ESA公式サイトから)

アル・ゴア元米副大統領(在位1993~2001年)が1995年、「情報スーパーハイウェイ構想」を打ち出し、インターネットの推進とそのネットワークを言い出した時、当方は当時、その意味を理解できなかったが、世界は短期間にインターネット時代を迎えた。ゴア氏の提案が如何に時代に先駆けた革新的なものであったかを改めて思わされる。

さて、2020年1月1日から始まる20年代はどのような10年となるだろうか。バブル経済が破裂し、低迷期に陥った日本の国民経済について「失われた10年(20年)」と呼ばれたが、これからの10年はこれまで以上の急テンポで変化していくだろう。少なくとも、物理・化学・生理医学の分野では大きなブレイクスルーをもたらす10年となるかもしれない。

人工知能(AI)が今後10年、工場や職場の域を超え、人間の生活隅々にまでに拡大していくだろう。通信情報世界では5G時代(第5世代移動通信システム)を迎える。現在の4G(LTE)よりも超高速、超大容量、超大量接続が実現する。本格的なIoT(モノのインターネット)の時代到来で、通信関連企業は目下、その主導権争いを展開している。

5Gが実現され、IoT技術が普及すると、家電製品や車などさまざまなモノがインターネットに接続され、モノの相互通信・データ収集が実現する。また、昨年7月に人類初の月面着陸50周年を迎えたが、米国や中国は今日、人類初の火星着陸を目指して激しい競争を展開している。

一方、地球温暖化、気候不順は進み、大洪水、大津波、火災など自然災害が頻繁に発生する危険が予測され出した。スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥ―ンベリさんの地球温暖化への警告はひょっとしたら預言者的なメッセージだったのかもしれない。今年から始まる10年間、人類は返答しなければならない。

例えば、ドイツの高速道路では速度は無制限だが、それを時速130キロに抑えるべきだという声が高まってきた。しかし、独自動車メーカーばかりか、同国第一党与党「キリスト教民主同盟」(CDU)は反対を表明している。自動車の速度制限で自動車が排出するCO2が大きく削減されるというデータが明らかになっているが、国民経済の命運を握る自動車産業へのマイナスを重視する傾向が依然、支配的だ。

20年代は経済活動と環境保護問題の調和が問われてくる。換言すれば、経済成長オンリーの社会から、人類の福祉、地球にやさしい「生き方」が求められるわけだ。

宇宙に目を向けると、欧州宇宙機関(ESA)は昨年7月16日、小惑星「2006QV89」が地球に衝突する可能性は1対7000だったと発表した。惑星の地球衝突リスクの確率が4桁内ということは非常に危険だったわけだ。

ESAによると、小惑星「2006QV89」の大きさは20メートルから最大50メートル。チリ観測データによると、同惑星は2023年に地球に接近する軌道に再び入るという。同小惑星が地球と衝突すれば、その爆発規模は広島級原爆の100倍にもなるというのだ。

2013年2月15日、直径20メートル、1万6000トンの小惑星が地球の大気圏に突入し、隕石がロシア連邦中南部のチェリャビンスク州で落下、その衝撃波で火災など自然災害が発生した。ESAは、今後100年以内に地球に急接近が予測される870の小惑星をリストアップしている。北朝鮮の独裁者、金正恩朝鮮労働党委員長が非核化に応じ、イランの核開発が停止されたとしても、人類の未来は常に人類の手の中にあるわけではないのだ(「『思考』を地球の重力から解放せよ」2013年2月9日参考)。

そこで過去の2人の著名な予言者に助けを請うことにする。

盲目の予言者ババ・ヴァンガは、2020年代に該当する予言の中では、「西暦2028年に人類が金星に到着し、新しいエネルギー源を発見する」と述べている。一方、ノストラダムスは、「2020年、北米に大地震が発生し、英国は新しい国王を迎える一方、米国と中国の間で大貿易戦争が起きる」(オーストリア日刊紙エステライヒ12月31日)と予言している。

最後に、日本について。今年は夏季五輪大会が東京で開催される。東京五輪開催は2回目だ。五輪大会を開催する国は国運が上向いている。1964年の東京大会開催と同じく、日本は大きな国運を再び迎えているはずだ。

懸念事項は、①マラソンと競歩の競技を暑さ対策のため北海道で開催すること、②隣国・韓国が日本の旭日旗の五輪会場持ち込み禁止を要請するなど、さまざまな障害が出てきていることだ。その意味で、第2回目の東京五輪大会を取り巻く環境は第1回とは明らかに異なる。それが「吉」となるか、「凶」と出るか、現時点では不明だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年1月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。