出会いを導くプリンシパル:最大の経営サバイバル術

明けましておめでとうございます。

2020年1月1日でトランスインサイト株式会社も設立14周年となり、15年目の年に突入しました。個人的には、米国滞在20年目に突入です。

僕が社会人になったのが1996年4月でしたから、今年4月で社会人人生は24周年。ほぼ四半世紀が過ぎたわけですが、そのうち20年を米国で自営業者として過ごしていることを考えると、自分事ながら全く恐ろしいですね。こんな人生になるなんて、文字通り全く夢にも思っていませんでした。人生とは、計画通りにいかないところが面白いですよね。計画以外の部分が人生の本質だなんて言う人もいます。

渡米したのは2000年8月。9月から大学院の授業が始まりました。19名の同級生のうち、非英語圏から来たのは自分だけ。最初のセメスターは英語がほとんど分からず、授業終了後に宿題は何だったのかを確認する日々が続きました。当然ながら日本人は米国ではマイノリティですが、留学生とかアフリカ系アメリカ人などの同じ立場の仲間がとても優しくしてくれました(僕の大学院時代のBest Friendはみなアフリカ系アメリカ人です)。

何とか最初のセメスターを乗り切り、次のセメスターが始まるかどうかの2001年2月に勢いで知人と起業しました。これも今思い返すと恐ろしいことですが、当時の自分には起業家として生きていく実力もお金もなく、「勢い」と「志」しか持ち合わせがありませんでした。それからジェットコースターのような日々が始まりました。授業と起業を何とか両立させながら、2003年に正式に労働ビザを獲得できる目途が立ち、大学院を卒業。

正式に労働ビザを取得して、自分に対して初めて払った給料で飲んだ生ビールの何て美味かったことか。大きな会社に所属していると、自分の成果なんてはっきり分からず、目に見えにくいものです。でも、起業した自分の会社なら、間違いなく自分の働きで得た収入だと実感できます。あのビールの味は一生忘れないでしょう。

そして、2006年1月にNYにトランスインサイトを設立しました。それからあっという間に14年。その間、いろいろな方にお世話になり、ご迷惑をかけ、面白いこと、大変だったこと、いろいろありました。その中で痛感した(体験的に確信している)ことは、人生も事業も計画通りにはいかないということです。良い意味で。

もちろん、企業経営者として会社を回す最低限の売り上げだとか、キャッシュフローとかには気を付けないと会社が潰れちゃいますから、それは大前提です。ただ、昨年比で売り上げをX%伸ばすとか、事業構成や競合を見てポテンシャルがありそうな領域を探すとか、最初はそういう経営計画っぽいことを考えたりしてたんですけど、途中からやらなくなりました。意味がないことに気づいたんです。特に僕みたいに実質的に個人事業主として仕事している人間には。

事業的な展開が大きく拓かれるのって、結局僕の経験的には出会いしかないんですよね。しかも、新たな展開とか可能性って、自分が気づいていない領域からくることが多いもので、自分の想像力の外にあるんですよね。だから、そんな意味ある出会いは計画できないわけです。

まぽ/写真AC

なので、僕は途中から厳密な目標設定をやめて、自分の行動の中で「出会いを導くプリンシパル(原理原則)」を守るようにするようになりました。3つしかない、とてもシンプルなものです。

原則①:損得より使命感重視

仕事は、突き詰めれば「自分の命を何に使うか」という取捨選択ですが、起業家であれば、自分は何のために起業したのか言語化できているはずです。でも、「やるべきでない」けど「お金になる」領域の仕事って結構あるんですよね。でも、そういうのに手を出して使命感が伴わない仕事ばかりしてると、本当に必要な出会いってやって来ないんですよね。

原則②:相談される人間になる

僕にとっては「相談される」ことが仕事の重要な部分を占めているのですが、そういう立場を創るのって、結構大変です。経験的に「相談される総量」が増えると、仕事の相談も増えていくようです。そのために、仕事の相談はもちろん、仕事にならない知人や学生からの人生相談にも喜んで乗るようにしています。事故や災害などで「ヒヤリ・ハットの法則」というのがあると思うんですけど、あれと似ていますね。仕事になる相談が1つ来るためには、仕事にならない相談がいくつもあるみたいな。

原則③:本気でやる

手抜きしない。嘘つかない。全力でやる。当たり前のことですが、これを続けるのは簡単ではない。また、原則①とも関連しますが、使命感を感じられる仕事でないと本気にはなれないものですよね。あとは、本気でやる相手と組むというのも大切ですね。本気でやっている人達には、本気の人が集まってきます。

経験的に、この3つの原理原則を守っていると、自分の計画(イマジネーション)より遠くに楽しく行けます。結局、自分の使命に忠実に全力で生きていると、それまで見えなかった流れが見えてくるんですよね。これが最大の経営サバイバル術だと思ってます。

ということで、2020年もよろしくお願いします。

今年もまだ見ぬ同志との出会いを楽しみにしています。

Trans Insight Corporation
President

鈴木友也


編集部より:この記事は、スポーツマーケティング コンサルタント鈴木友也氏のブログ「スポーツビジネス from NY」2020年1月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はスポーツビジネス from NYをご覧ください。