石川拓治著『茶色のシマウマ、世界を変える』を拝読。長野県軽井沢に、日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった小林りんさんの物語だ。
日本で初めての全寮制インターナショナル高校をつくるまでの過程や情熱、仲間の作り方などもとても参考になるが、小林りんさんが体験したピアソンカレッジの授業もとても興味深かった。
「日本の学校でさんざんやらされたような、文章の一部を抜き出して波線をつけて、作者の気持ちをアイウエオから選べ、なんて設問はまったくなかった。たとえば三島由紀夫を何冊か、『仮面の告白』と『金閣寺』と何とかを読んで、それらの作品に共通する三島由紀夫の美意識と破壊に関する概念について述べよ、みたいな課題が出るわけです。…
答えそのものじゃなくて、ひとつの文学作品をどうやって分析するか、どう考えるかということを延々とやり続ける。それが大切なんだということを教わりました。」
日本の一般的な教育は、公平と平等を追求するあまり、一つだけの正解を求めすぎていないか。
ピアソンカレッジや、ISAKでは、多民族の中で、ひとりひとりの歴史観や価値観を見つめなおすことを重視しているが、日本の一般的な教育は、まだまだ同質性を追求していないか。
『奇跡のリンゴ』等でも有名な石川さんの、卓越した文章で、いろいろと考えるきっかけをいただきました。
<井上貴至 プロフィール>
編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年1月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。