地球温暖化問題の話題が尽きなくなってきました。ダボスで開催されている会議ではトランプ大統領とグレタさんが直接ではないですが、双方がそれぞれの主張を言い合う形になりました。ただ、私が理解する限り、思想上の相違以上にお互いが好きではないという相手の否定から入っているようであります。
トランプ大統領も地球温暖化問題についてはこの2年ぐらいの間にやや考えを変えてきている感は無きにしも非ずです。特に選挙を考えると自己の主張を貫き通すことが野暮であることには気がついているはずで、例えばダボスでは1兆本の植林活動にアメリカも参加すると表明しています。
一方、グレタさんは煽るのは上手なのですが、現在置かれている我々の社会が地球環境を配慮したものに確実に変わりつつある中でエキセントリックすぎるように感じます。また、西欧社会が彼女を必要以上に祭り上げることは一種のショーのようなものとなっており、私からすれば「子供を利用した政治活動」ではないかとすら思います。
最近、北米で肉を食べるはよくないという傾向がとみに強まってきています。マクドナルドはカナダの店舗通じてビヨンドミート製の大豆由来の人工肉の実験店を展開しており、最近、好評なのか、実験店拡大を表明しました。また、スターバックスが同様に植物由来の肉(肉とは言えないのかもしれません。)を使った製品開発を検討すると発表しており、人工肉に拍車がかかりそうな状況にあります。(なぜ、マクドナルドはすぐに全面展開しないのか、といえば市場が急成長しすぎて製造がおいつかないというボトムネックの問題であります。)
このブームは単に健康志向だけではなく、牛などの家畜を育てるのに要する餌やゲップが地球環境に良くないとされることからの強いムーブメントであります。同様の動きは牛乳にもあり、アメリカにおける牛乳の消費量はこの30年で3割下落、変わって大豆やアーモンド、麦などの植物由来のミルクの消費が急速に伸びています。
気象はどうでしょうか?異常気象は今や日常茶飯事となっています。今、日本では一部のスキー場で雪不足から営業できないと悲鳴の声が上がっています。オーストラリアの森林火災はすでに日本の国土の半分と同じ大きさを焼き尽くしたとされ、それが大雨や嵐も巻き起こし、手の施しようがない状態になっています。
このままでいけば異様に暑い夏は世界で当たり前となり、昨年40度を超えたフランスのみならず、日本でもそういう日は来るのでしょう。その場合、人間は我慢と対応をすればどうにかなりますが、地球環境は必ずしもそれに順応できるわけではありません。例えばサンマがとれないといった漁業の不安定化はあるでしょうし、農作物でも最近では北海道がコメの主産地になりつつあります。
我々に何ができるのか、これをもっと考えなくてはいけません。例えば私はカナダでいつも不思議に思っているのはどの家や施設の庭でも秋になると落ち葉をきれいに片づけます。カナダで針葉樹が増えたのはたい肥が足りず、土地がやせたことが原因の一つであります。植林で広葉樹を植えてもきれいに片づけるのはある意味、無駄なのであります。
Be Natural、これが必要なのかもしれません。人間社会は必要以上に見栄えを気にするようになりました。食べ物でも一番おいしいところだけ取ってあとは捨てるのは高級料理店の当たり前の調理方法でありますが、それはこれからの社会の非常識でもあるのです。
シイタケは傘以外のところは固いと思い、捨てていたのですが、使えるのでは、と言われて調べてみたら捨てていたのはどうやら軸という部分を含んでいたらしく、料理すれば食べられることに気がつきました。こんな工夫は地球温暖化にどう関係するのかと思われるでしょう。
我々の行動一つ一つを見直すこと、そして温暖化が迫ってくるのであればそれに対応する備えをすることが我々にまずはできることではないかと考えています。サンマがとれなければ目黒のサンマ祭りは止めるという判断だって必要なんです。あまりにも過去にとらわれ過ぎると変化対応が後手になるのであります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年1月26日の記事より転載させていただきました。