メルペイのオリガミ買収:QRコード決済サバイバル、第2段階へ

有地 浩

メルカリは23日、子会社のメルペイが、Origami Payを展開するOrigami(オリガミ)の全株式を取得することで基本合意に達したことを発表した。

メルペイ社プレスリリースより

ついにと言うか、やっとと言うか、人によって表現は違うだろうが、Origami Payが早晩どこか他社の軍門に下ることは、1年以上前から業界関係者にはわかっていたと思う。

QRコード決済のシェア争いに勝つためには、登録者数を増やし、加盟店を増やし、決済額を増やさねばならないが、よく知られているように、PayPayが一昨年12月に100億円あげちゃうキャンペーンを行った時から、登録者数の確保がQRコード各社の主戦場になり、ポイント付与競争の消耗戦が始まった。

各社は手を変え品を変え、繰り返しポイント・キャンペーンを実施して、登録者を集めようとしているが、そのためには資金力がある方が有利であることは間違いなく、資金潤沢な携帯キャリア系の会社が優位に立った。この結果、昨年11月には、ポイント付与競争で消耗したLINE PayがPayPayを持つZホールディングスと統合することとなり、そして今回Origami Payがメルペイの子会社となった。

Origami Payを取り込んだメルペイも、今後PayPayやドコモのd払いなどと競争することを考えると勝ち残るのは容易ではないと思われる。これからも今回と同様の買収・合併が次々に起きることだろう。

一方、現状勝ち組の先頭にいるPayPayも、勝鬨を上げるにはまだ早すぎると私は思っている。勝ち残り戦の「第2段階」は、依然として少ない加盟店数を増やせるかどうかが勝負になる。

1月17日にPayPayが発表したところによれば、加盟店は185万か所を超えたとのことだが、クレジットカードと比べてみると、2018年の経産省の統計ではクレジットカードの加盟店は700万店を超えている。しかもこれはクレジットカード会社が自社で開拓したもののみの数字なので、決済代行会社などが開拓した加盟店を含めるとおそらく1000万店は優に超えるだろう。しかし、これでもクレジットカードがどこでも使える便利な決済手段だと感じる人はいないだろう。

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やはり加盟店がどこにでもあると感じられるまでにならないと、いくら登録者を増やしてもアプリの操作などが煩雑なQRコード決済を日常的に使ってくれるアクティブユーザーは増えない。キャンペーンをしている間だけのポイント狙いのユーザーばかり増えてもしかたがない。

今後、PayPayがクレジットカード等とキャッシュレス決済の覇権を争うつもりがあるならば、加盟店数の飛躍的な拡大は絶対必要条件だ。

ではどうやって加盟店を獲得すればよいのだろうか。これまでPayPayは、手数料と端末代がタダということを武器として人海戦術で加盟店を急速に拡大している。しかし、それでは早期に1000万店超えはできない。特に大都市圏以外に加盟店網を広げることは難しい。

やはりここは、加盟店の立場に立って考えてみる必要があるのではなかろうか。PayPayが手数料無料で、端末代もほとんどかからず、売上入金が早いといっても、これらはお店にとってキャッシュレス化することのマイナス面を少なくしただけで、プラスになるものではない。何か加盟店にとってインセンティブとなることを考え出す必要があると考える。