知っトク解説:今回は“保釈”

昨年末に、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が国外逃亡しました。

ゴーン被告は金融商品取引法違反などで起訴され、起訴後に保釈されていました。
“起訴された”ということは、“取り調べが終わった”ということになりますので、保釈が認められていたわけで、今後始まる裁判で、裁判で有罪・無罪が決まるはずでした。

保釈とは、勾留されている刑事被告人の身柄を暫定的に釈放するものです。
容疑が固まって起訴されて裁判で判決を受けるというプロセスがありますので、逮捕されたから犯罪者ということではありません。取り調べ中は、証拠隠滅の恐れなどを想定して容疑者を勾留します。取り調べが終わって起訴された、容疑者から被告人になったタイミングで保釈が認められます。保釈は本人や弁護士が求め、裁判官が判断します。また保釈に当たっては、住居の制限や一定の保釈金などの条件もあります。

保釈をせずに長期間勾留することは人権問題でもあるので、最近では保釈件数が増えています。
平成13年の保釈率は12.69%でしたが、平成30年には33.69%にまで増えています。

保釈率の増加に伴い、保釈中の被告が裁判に出てこなかったり、逃亡する事件も増えています。
ゴーン被告のように、保釈中に海外逃亡されてしまえば、裁判自体が開けなくなってしまいます。

有罪になった受刑者が刑務所から脱走すれば当然罪になります。しかし、保釈中の逃亡にはこれまで罰則がありませんでした。そこで、保釈中の逃亡に対する罰則を設けることや、外国では多いGPS装置の装着を義務化し、居場所を捕捉できるようにすることなどの対策や法改正の議論が現在進められています。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。