Got milk? 米上院議員が弾劾裁判で牛乳を飲む理由

安田 佐和子

弾劾裁判が本格的に開始直後、WSJ紙が「No Coffee, No Cellphones and No Talking」と伝えました。

ここで特に話題になっているのが、No coffeeの部分。そう、米上院議員が議場に持ち込めるものが水と牛乳に限られているのですよ。

(カバー写真:Guy Montag/Flickr)

牛乳の持ち込みが可能な通称“ミルク・ルール”には、2つの説があります。1966年1月24日、上院での協議中にエバレット・ダークセン議員(イリノイ州、共和党)が牛乳を飲む承認を求め、それが受け入れられ慣習化されたというわけです。

また、医師でもあるビル・キャシディ議員(ルイジアナ州、共和党)は、コーヒーや紅茶などカフェイン飲料ではなく牛乳である理由として、1950年代頃まで消化性潰瘍の治療法が牛乳摂取だったためと説明します。なお、牛乳の持ち込みは正確には規定で承認されていない代わりに、禁止されてもいません。

テッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサスのスタッフ、牛乳を飲む上司についてご覧の通り説明。

https://twitter.com/SamCooper33/status/1220099726185508865

米上院議員は弾劾裁判中、1日8時間以上拘束され、WSJ紙のヘッドラインが示すように裁判中は着席と静粛が求められる上、スマートフォンやタブレットは持ち込めない(ただしアップル・ウォッチなどスマートウォッチは持ち込み可)。

さらに、食料品の持ち込みも禁止されています。そのため、議場の入口後方には “キャンディ・デスク”が存在するんですよ。共和党側にある“キャンディ・デスク”の引き出しには飴だけでなくチョコレートなどが含まれ、長時間に及ぶ裁判で疲れた議員の癒しとして重宝されているに違いありません。

キャンディ・デスクの場所。共和党側にあるというのは同党に利点?

気になる引き出しの中、Rolo caramels, Milky Ways, 3 Musketeers bars, Palmer Peanut Butter Cupsなどが。

このキャンディ・デスクを切り盛りするのは議会の事務方でもなんでもなく、担当の上院議員というのが一興です。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年1月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。