新公益連盟では、昨年から「ソーシャルジャーナリスト賞」を授与しています。社会課題解決において、ジャーナリストの力は切っても切り離せないからです。
NPOは、社会問題のあらゆる現場で当事者に向き合いながら実務を進めています。最近は、政策提言/アドボカシーの機会も増えてきました。しかし、事業が広く社会全体に広がったり、政府や自治体の制度が動くためには、世論の声が書かせません。社会課題が一般に伝えるためには、メディアの力が必須です。SNSの力も強まってきましたが、まだまだ一部の世界。テレビ、新聞、ネットの各種メディアが発信してくれることで、社会問題が認知されていきます。
そこで、知られていない社会課題をメディアを通じて発信してくれているジャーナリストを、「ソーシャルジャーナリスト」として新公益連盟では表彰させていただくことにしました。新公益連盟の全会員からノミネートを募り、理事・幹事の協議によって、毎年お一人を選ばさせて頂いています。2回目である今年度は、堀潤さんを表彰させて頂きました。
堀潤さんは、個人的にも防災の分野で大変お世話になっています。一年半前には、西日本豪雨で大きなダメージを受けた宇和島市について、私が「ぜひ取材をしてくださいませんか」とお声掛けしたところ、毎日MXテレビに生出演されているにも関わらず、快く応じていただき、即日現地に入って頂きました。書いていただいた次の記事によって、宇和島の被害が多くの方に伝わり、様々な支援を引き出すきっかけとなりました。
豪雨災害でみかん畑に壊滅的被害 「必ず秋に出荷する」と踏ん張る農家に密着 愛媛県宇和島市吉田町(堀潤) – Yahoo!ニュース
あるいは半年前の台風15号により強風被害を受けた千葉県の鋸南町。主要メディアが9月11日の内閣改造ばかり報じる中、堀さんは単身現地に乗り込み、次のような記事を発信されたことで、千葉県の災害の大きさがようやく伝わりました。
「電話も繋がらない、テレビも見られない、情報が手に入らない」停電続く千葉県鋸南町の住民のいま(堀潤) – Yahoo!ニュース
西日本豪雨ではRCFが先に入った宇和島へ堀さんに来ていただきましたが、台風15号災害では逆に堀さんの発信によりRCFは支援を決意しています。少し時間がかかりましたが、休眠預金を活用して、千葉県でも多少の支援が実施できそうです。
堀さんは災害に限らず、香港、シリア、沖縄、福島といった課題の現場に誰よりも足を運び、今日も発信を続けています。
堀さんのこうした取り組みが、いよいよドキュメンタリー映画として3月7日に公開されることになります。新公益連盟の総会でも流していただいた予告編がアップロードされています。ぜひ御覧ください。
堀さんが可視化した社会課題を丁寧に拾い上げて、分断を生み出さないように、新しい繋がりを作っていくのがNPOの役割だと考えています。
社会課題が毎日のように生み出されてしまう昨今において、堀さんの行動を次につなげられるように、NPO全体として力を蓄えていきたいと思います。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年2月11日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。