相続税対策も「走りながら考える」

昨日は、相続税対策セミナーにゲストとして登壇しました。相続に強い弁護士や税理士、そして不動産会社の専門家を招き、参加者に包括的な相続情報を提供することができたと思います。

最近、相続に対する注目が高まっていますが、その理由は高齢化社会になったことだけではありません。相続税の対象が拡大し、増税された影響が大きいと思います。

税制改正により、2015年から相続税の基礎控除が、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数 」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に変わり、相続税がかかる人の割合は4%程度だったのが8%台に倍増しました。

また、相続税の計算は年々複雑化し、申告する人の85%は、相続税申告が適切ではない状態とも指摘されています。税理士でも正確な情報を把握して正しく申告できる人は限られているのです。

最近は、海外不動産を個人名義で保有している人も増えていますが、これも要注意です。現地での相続手続きに膨大な手間とコストがかかる可能性があるのです。

相続に関しては発生してからトラブルになる前に、予防的に対応しておくことが必須です。

では、まず具体的に何をしておくべきなのでしょうか?

最初にやるべきなのは、相続税の試算です。もし現時点で相続が発生した場合、どのくらいの税金がかかるかをざっくり計算しておくことです。

そしてそれをもとに、必要な対策を早急に考えます。

例えば、非課税枠がある保険を活用したり、借り入れが可能であれば、不動産の活用することも検討すべきでしょう。

さらに税理士と相談して、資産管理会社の設立など、一歩踏み込んだ相続税対策も考えられます。

それらと並行して、相続に強い弁護士に相談し、公正証書による遺言の作成も行うべきです。遺言を正式に作成していなかったばかりで、相続時に家族間の大きなトラブルが発生し、取り返しがつかないことになってしまう悲劇も増えています。

相続は、地震と同じように起こってしまってから対策を講じても間に合いません。平時から最悪の事態を想定し、適切な対策を打っておくことです。そのタイミングは早ければ早いほど効果的です。

相続と聞いて、縁起の悪いことと忌み嫌うのではなく、早めに対策を講じることが、結局は家族の幸せに通じる。相続も、あれこれ考える前に必要なのは行動です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。