昨日、内閣府が発表した2019年10-12月期の実質GDPの速報値は、前期比(2019年7-9月期)1.6%減そして、年率換算では6.3%減でした。
この数字はかなりショッキングです。というのも、民間のシンクタンクでは年率4%程度のマイナス予想を大きく上回ったからです。
前期比 年率
民間予測の中央値 -1.0% -3.9%
速報値 -1.6% -6.3%
このマイナス数字は7.4%減だった平成26年4-6月期以来の大きさです。
今回発表された四半期分の内需と外需をそれぞれ見てみると、内需は実質2.1%減、これに対して外需は0.5%増でした。ですから内需が足を引っ張っていることになります。さらにその内需を項目別に見てみると、設備投資が3.7%減、住宅投資が2.7%減、個人消費が2.9%減となってます。そして、注目すべきは2.9%減の個人消費です。
実は個人諸費は5四半期(1年3ヶ月)ぶりのマイナスになっているのですが、皆さんなぜだかわかりますか?
答えは、消費税の増税です。
10月から消費税は8%から10%に上がりましたので、その直前の8〜9月に駆け込み需要が発生した反動で、10-12月期の個人消費がマイナスになったわけです。先ほど、平成26年4-6月期以来の落ち込みと言いましたが、その時も消費税が5%から8%に増税されたときでした。しかし、その後は少しずつ経済が伸びてきましたが、はたして今回はどうなるでしょうか。
もともと昨年の10-12月期は消費税が上がるということで、どこもマイナス要素でしたが、その後の1-3月期は逆にプラス成長と予想されてきました。ところが、もう皆さんおわかりのとおり、先月から今月は新型コロナウイルスが流行していますので、はっきり言って私はプラス成長が絶望的だと見ています。
すでに人が多く集まるイベントは次々と中止されており、人混みへの外出を控えています。ちょっとしたアミューズメント施設などはかなりすいています。それから訪日外国人も激減していますし、それから中国では工場が製造中止、それによってサプライチェーンが寸断され、日系の工場も止まるという事態に陥っています。
さて、大和総研が新型コーナーウイルスの流行が1年ほど続いたと仮定したリスクシナリオを発表しました。
これによれば、中国からの訪日客数は400万人減、為替が対ドルで5円の円高になったと想定した時、日本経済の実質成長率は-1.0ポイント以上、GDP額で5兆円以上マイナスになると予想しています。そうなると令和2年の日本経済は1年間を通じてマイナス成長になるということです。これは平成23年以来、そう東日本大震災の年以来となります。
大和総研のこのシナリオでは東京オリンピックが中止にはなっていません。しかし、流行が1年続くとなれば、オリンピック・パラリンピックなんて開催できるのっていう話であって、とれも怖いですね。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年2月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。