昨年のスペインへの外国からの訪問者数が発表された。その数は8370万人。フランスに次ぐ世界2位の訪問者数である。
日本ではフランス、英国、イタリアが人気上位3か国ということで、スペインが訪問者数で世界2位にランキングされているのは余り知られていないようだ。2017年にスペインは米国を追い抜いて昨年まで2位を確保している。
2000年に5000万人を僅かに越えたが、翌年5000万人割れ、そして2002年以降スペインは5000万人以上の訪問者を毎年維持した。2013年には6000万人を超え、2016年には7560万人、そして2017年は8200万人、2018年が8280万人と毎年増加の一途を辿っている。
スペインの魅力は年間を通して 日照時間の多さとビーチの豊富さである。そして1990年代から取り組んで来た観光産業のインフラがしっかりしていること。また治安も安全だ。最近は内陸地方への訪問者も増えている。(参照:wikipedia.org/wiki:vozpopuli.com)
訪問者数の内訳を見ると、英国からの訪問者がトップで1800万人。但し、2018年と比較して2.2%の減少。英国はEUからの離脱で先が見えないという不安と旅行代理店最大手トーマス・クックが倒産したことなどが観光客の減少に影響している。
英国人の次に多いのがドイツ人の1120万人。英国と同じく、ドイツからの訪問客も一昨年比2.1%の減少となっている。英国とドイツからの訪問者の減少は人数にして150万人とされている。(参照:elindependiente.com)。その後、フランス、オランダ、北欧3か国がそれに続く。これらの国々からも同じく訪問者数に減少があった。
その一方で、ロシアからの訪問者の復活と中国、米国、日本などからの訪問者が増加している。筆者の手元に日本からの訪問者数のデーターが不足しているが、一般に年間で50万人を少し超える程度であったのが、昨年は25%の増加あったと報じられている。(参照:vozpopuli.com)
宿泊先については68%が依然ホテルを選んでいる。観光客相手のレンタルマンションは少し減少気味だとされている。これも違法なレンタルマンションへの市庁舎の取り締まりが影響している、
外国からの観光客が消費する金額は922億7800万ユーロ(10兆9000億円)。平均して一日の観光者の出費は154ユーロ(18200円)。それも地域によって異なり首府がラス・パルマスのマジョルカ諸島では162ユーロ(1910円)、カタルーニャは197ユーロ(23000円)、マドリードになると269ユーロ(31800円)となっている。(参照:elpais.com)
2000年代まではバルセロナ、マドリード、カナリア諸島、バレアレス諸島に多くの訪問客が集中していたが、2010年以降は筆者が在住しているバレンシア市も観光者が急激に増えている。これもマドリードとバルセロナの2大都市へのマンネリ化した訪問から、まだ十分に知られていない第3都市バレンシアへの訪問に旅行代理店が方向転換しているのが影響しているようだ。
今年は英国のEUからの離脱したあとの双方の交渉の成り行きに英国からの訪問者の数が影響しそうだ。また急増していた中国からの訪問者が新型コロナウイルスの影響で停滞する可能性がある。