読書をするとき、ただ漫然と読みはじめている人はいませんか。もちろん、楽しむときの読書はそれでもいいのですが、限られた時間で本を読まなくてはいけないとき、いくつかの方法を加味することで読書のスピードや吸収力が一気に加速します。
今回は新著『頭がいい人の読書術』(すばる舎)から、読書テクニックをお教えします。
本の目的は情報の伝達です。いまの自分とかけ離れた領域だと意欲が湧かないものです。意欲が湧くのは読者にとって「役立つ」ことが実感できた本だと思います。「自分の課題をこれだけ解決してくれる」ことの期待感が高い本は意欲が湧くものです。
では、読み方はどうか。ビジネス書や実用書は多くの場合には、自分が知っていることと新たな情報との違いをチェックするだけで読み飛ばしていいと思います。まずはサッと読んでしまうのです。また、つまらないと思ったらそれ以上読んではいけません。読書が苦行になってしまいます。つまらない箇所は捨ててしまいましょう。
電子書籍元年といわれる2010年当初、数年後には電子書籍と紙の本の市場シェアは逆転するといわれていました。ところが、市場シェア逆転はおろか、電子書籍の利用率が2割弱で頭打ちというのが現状です。
電子書籍が伸びない理由はいくつかあります。電子書籍は、専用タブレットに落として持ち運ぶことができますが、普段から読むことが多い書籍は、紙の本を購入しています。やはり紙の本のほうが読みやすいのです。たくさんの書籍を落とせる電子書籍は素晴らしいと思いますが、複数の本を同時に読むことはできません。
私は目的がなくても書店に立ち寄ることがあります。いま流行っている書籍、タイトル、ジャンルなどを調べることでトレンドを把握することができます。また、入る前には購入意志がなくても、お店を出るときには大量の書籍を購入していることも少なくありません。書店は情報収集の場なのです。
これから、紙の本はどこに向かうのでしょうか。電子書籍が高度機能化してもその波をくぐり抜けると私は予想しています。電子書籍で読者の想像力や興味をかき立てることは困難だからです。わかりやすく説明するなら、紙の本で感動することはあっても、電子書籍で感動したり、感動を与えることは難しいと考えています。
あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることをお祈りしています。
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尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
16作品目となる『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を出版しました。出版後すぐに重版。amazon・読書術、図書館情報学2部門ベストセラー1位(2/14現在)。