きのうの安倍総理が表明した全国の小中高の臨時休校要請は、寝耳に水のことでニュースを聞いた直後は暗澹たる思いでした。
私には小学校1年生の子どもがいるのですが、学校が休校になったら働けません。ちなみに、近くに、子育てを助けてくれる親族はおりませんし、しがない個人事業主ですから、働かないと収入が得られません。東京や大阪のような都市部では私のような“孤立無援”の母親も少なくありません。
「子供が休校です」といって客先に行かなければ、顔ではニコニコしつつ快く対応してくれても、契約を切られるところも出てくるでしょう。切られずともマイナスイメージにはなるでしょう。
誰もがテレワークが認められる就労環境にいるわけではありません。保育園は休園にはなっていません。小中高生を持つ保育士さんはどうなるのでしょうか。東京や大阪のような都市部では私のような“孤立無援”の母親も少なくありません。ましてや、ひひとり親世帯なら、母親が働かなければ即ち生活が困窮することになります。
小学校3年生くらいまでの小さな子どもをひとりでお留守番させることは安全なことなのでしょうか。お昼ご飯はどうするのでしょうか。朝作って冷えたものを勝手に食べておいてというのでしょうか。まだまだ寒い時期、雪国でストーブが不可欠な地域では、ストーブを付けたまま子供を放置して働きに行けということでしょうか。
学校で出る給食で一日分の栄養を補給しているような、自宅が安全な場所ではない子供たちもいることは想像できないのでしょうか。日本の子どもの7人に1人が貧困だと言われているのに?
一人でお留守番ができる小学校高学年・中高生の子どもは親が命じれば家にじっとしていると思っているのでしょうか。結局、退屈で出歩いて余計にウイルス感染のリスクが高まるだけではないでしょうか。首都圏なら浦安の某遊園地、近畿圏なら某映画会社系列のテーマパークに、休校中の子供たちが大挙し、インスタに楽しく遊ぶ様子をあげまくるのではないでしょうか。
そもそも休校はさせるのに、そうしたテーマパークなどに営業の自粛を要請しないのもおかしな話ではないですか。閉鎖空間での長い待ち時間。クラスター感染の条件が揃っている危険エリアではないでしょうか。
いまだに中国や韓国からの渡航全面禁止をしないのは蛇口の元栓を開いたままのようなもの。だらだらと感染者を招き入れ、何の前触れもなく、小中高の休みを決定する。Twitterでは「仕事やった」感ありあり、「片手落ち」というツイートが殺到しています。
全ては想像力の欠如。
加えて、驚きを持って見たのは、某女性都議が小池知事に、小中高に「東京都内公立小中学校における休校を求める緊急請願書」を提出したという投稿です。
「なんて余計なことを…」と思わず呟きました。
この方も子育てをしてきたわけで、子供の学校が休みになったら女性が働けないことくらい想像できるでしょうに。年代的に子育てが終わっているのでしょうが、手柄顔で、このような働く母親にとって迷惑な請願をするのでしょうか。プロフィールを読んだら、「働きながら子どもを産み育てやすい社会を目指す」と書いてあり、脱力感でいっぱいでした。
子供を守るために小中高の休校は欺瞞以外の何者でもありません。先に整えるべきは、働く母親が家にいられる手当てをすることはないでしょうか。
子供をいくら閉じ込めても、両親が満員電車に乗って働きに行って、マスクは売り切れで手に入らず、ウィルスをたっぷりと吸って自宅に戻ってきたらまったく意味がないのです。
青天の霹靂の要請ですが、せめて、深く考えずノリだけで小中高のみならず学童も閉鎖にしないでいただきたいと思います。
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栄木 真由美(えいき まゆみ)
元政令市の市会議員。現在は、自身の選挙活動や政治活動の経験を活かし、選挙プランニング会社「Plan-M」代表。ツイッター「@MayumiEiki」