新型肺炎が引き起こす経済への甚大な影響

ビジネスをしている方にとって「今は耐える時」と思っている方は大変多いと思います。全然関係ない私も実は耐えているんです。関係なさそうなところまで影響が出ているのが今回の連鎖反応だろうと思います。

(写真AC:編集部)

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成田空港の土産物屋はいつもなら黒山の人だかりで山のように抱えたお菓子を買う人が目立つのですが、今回はほとんど人がいませんでした。フライト案内を見ると中国便はほとんどがキャンセルですからやむを得ないのでしょう。

安倍首相は3月2日からすべての公立小中高校を春休みまで休校にすると発表しました。3月が1カ月無くなったも同然です。患者のクラスターを作らないという強い方針の表れですが、当然ながらその背景には東京オリンピック開催を死守する姿勢が見て取れます。逆に言うと外から見ると日本の肺炎対策の評判はよくないということでしょう。

ただこれをよく見ると26日現在でクルーズ船患者が709名で一般の患者は175名にとどまっています。クルーズ船の対応は難しかったと思います。今回のウィルスの特徴が明白になっていなかったことを踏まえると政府を一方的に批判もできないとは思います。ただ残念なことにイメージは中国、韓国と日本が抱き合わせになってしまっていることもあります。

オリンピック開催の是非に関しては4月ぐらいまでに終息の目途があり、状況を完全に把握している状態にあるかどうかが判断のしどころではないでしょうか?オリンピックは開催か中止のどちらかしかないと理解しています。様々なしがらみから開催時期をずらすことはできないでしょう。仮に開催できないなどとなれば日本経済への打撃は卒倒してしまうほどであり、倒産が相次ぐ事態すら予想されます。GDPは4四半期連続(つまり1年間連続)ぐらいマイナスを記録してもおかしくありません。それだけは絶対に避けなくてはいけない、だからこそ「そこまでするのか」という対策を次々に打ち出すしかないのだろうと思います。

経済の疲弊感は既に相当あります。多くのコンサート、スポーツは中止に追い込まれています。競馬まで無観客競馬になっています。スポーツジムでも感染者が出たのですから、人は動けず、今や塾に来させるのすら抵抗を見せる親もいます。飲食業への影響もすさまじいものがあるとみています。要は人が集まらないようにしているので出かけて消費する活動が止まっているということです。

私の知り合いのカナダの旅行会社の方がこぼしていました。「一生懸命営業して売ったツアーを今、一生懸命キャンセル対応で返金しています」と。これでは涙も出ないでしょう。なぜ、おまえのところも影響があるのか、というと春のこの時期に人が動かないので日本の賃貸物件も動かないのです。問い合わせが全く入らないのは人々のマインドが完全に落ちてしまっているようなのです。全くもって驚きです。

日本の経済に関しては春休みが壊滅的になりそうで、その次はゴールデンウィークが視野に入ってくると思います。4月上旬ぐらいまでに状況が好転しないと予約は厳しいものになるとみています。

よって政府としては大規模経済対策をすぐにでも出さねばまずいと思います。日銀は数字が出てみないと分からないというスタンスで全く動きが鈍いのですが、予防的措置を取らないと患者の死者だけではなく企業の死者、つまり倒産が激増するリスクがあるとみています。

もう一つ、私はアメリカにこれが伝播するか注目しています。北米は患者が若干いるもののほとんど平常心を保っていますが、なにかあるような気がしてならないのです。もしもアメリカも実は大変な状況にあったとなれば世界経済は一時的に凍結状態になるでしょう。

個人的には新型肺炎と共にそこから派生する経済リスクに同じぐらいの恐怖感を持っています。しばらくは体力勝負になる気がしています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年2月28日の記事より転載させていただきました。