きのうブログ記事でWHOと中国政府のCOVID-19についての共同報告書を荒っぽく紹介したら、橋下徹氏からコメントがついて多くの人から反響があったので、誤解のないように補足しておく。特に日本の一斉休校とからんで注目されるのは、次の記述である。
18歳以下の個人に関するデータは、この年齢層の攻撃率が比較的低いことを示唆している(報告されたすべての症例の2.4%)。武漢ではサンプルの検査の中で、2019年の11月と12月および2020年1月の最初の2週間に陽性の子供はいなかった。[中略]
感染した子供は、大人の世帯での接触追跡で主に特定されていることがわかった。特に共同チームがインタビューした人々は、子供から大人に感染したエピソードを思い出せなかったという。(p.11)
また「COVID-19は新しい病原体なので従来の感染症と同じ対応をしてはいけない」という部分でも、インフルエンザと比較した特徴についてこう書いている。
COVID-19はSARSではなく、インフルエンザでもない。これは独自の特徴を持つ新しいウイルスである。たとえば子供のCOVID-19感染は、インフルエンザと比較して限られているようだ。(p.18)
子供の感染について特記しているのは、日本政府の対応が念頭にあるのかもしれない。インフルエンザは子供に感染しやすいことが学級閉鎖などの措置がとられる理由だが、新型コロナは逆に高齢者が重症になることが多く、80歳以上の致死率が21.9%と高い。
この特徴には今のところ医学的根拠があるわけではないが、18歳以下が感染者の2%程度で、子供から子供への感染がほとんどみられないという統計的事実から考えても、小中高校の一斉休校で新型コロナの感染拡大を止める効果は期待できない。
安倍首相の「休校要請」は、専門家会議も現場も知らないうちに決めた思いつきであり、弊害のほうがはるかに大きい。この要請は撤回すべきだ。