読書はアウトプットをすることで完結する

(筆者撮影)

読書をするとき、ただ漫然と読みはじめている人はいませんか。もちろん、楽しむときの読書はそれでもいいのですが、限られた時間で本を読まなくてはいけないとき、いくつかの方法を加味することで読書のスピードや吸収力が一気に加速します。

今回は新著『頭がいい人の読書術』(すばる舎)から、読書テクニックをお教えします。

「あなたは月に何冊の本を読んでいますか」「最近読んだ本で良かった本を教えてください」。そう質問されたら、すぐに答えられますか。おそらく多くの人が「えー」と言ったきり、次の言葉が出てこないはずです。

そのような読書をしても、身につくことはありません。身につくことはありませんから、自己成長につながりません。本を読んでも、アウトプットできないと意味がないのです。

読んだ本をアウトプットする方法はいくつかあります。本への書き込み、人に話すなど(読書会)もありますが、さらにステップアップしたいようでしたら、本で読んだ内容をまとまった文字数の記事(ブログやSNS)にまとめると効果的です。

文章で効果的に伝えるために大切なものが、「フック」です。最初の100文字。レポート用紙で最初の3  行はとくに重要です。この3行で読者の心にフックが掛からないと読んではもらえないからです。

最初に、サマリーを3行(100文字)でまとめてみましょう。自分が読者だと想定して、どのような書き方であれば、心をつかみ、刺激することができるのか考えてみましょう。
 
3行でまとめるといっても、過剰な書き方になったり、内容がともなわない文章では意味がありません。何を主張したいのかを3行で明確にしなければいけません。日常的な仕事のなかでも、何を伝えたいのか要点を意識することは大切です。

さまざまな商品やサービスがあふれている時代、相手に「なるほど!」と思わせるメリットを感じてもらうポイント、つまりフックがないと、一本調子で話を聞いてもらうこともできません。

まずは自分を読者に置き換えること。次に、アウトプットした文章を他人にシェアしても要点が伝わることを重視してください。誰に向けて、何を、なんの目的で、どう伝えるか。きっちり整理してみると、アウトプットの精度が高まるはずです。

あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることをお祈りしています。
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尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
16作品目となる『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を出版しました。出版後すぐに重版。amazon・読書術、図書館情報学2部門ベストセラー1位(2/14現在)。