こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
昨日は参議院・本会議での質問に登壇し、無事にデビュー戦が終わりました。
早速動画もアップしているので、ぜひご覧いただければ幸いです。
経済政策に加えてテクノロジー政策、ネット・ゲーム規制条例への懸念、ひとり親支援、選択的夫婦別姓の導入など、「らしさ」が出た質問ができたと思います。
がっ!!
答弁はすべて総理にしていただけたものの(感謝!)、安倍総理の体調があまりにも悪そうで、本当に心配になりました。
動画で答弁シーンを見ていただければわかる通り、明らかに鼻声で咳も出ていて、話すペースはいつもより低速。
私が質問しているシーンでも、長時間に渡って顔を覆っているシーンが確認できます(2:50前後)。
雰囲気までは動画では伝わりづらいかもしれませんが、あまりの変調に大丈夫か?という感じで議場もどよめいていました。
しっかりと気を使って、くしゃみ・咳エチケットである「ドラキュラスニーズ」をされていたのは流石でしたけど。。
ドラキュラスニーズの詳細についてはこちらの動画(冒頭3分)に詳しいです。
■
なお、国会議員に仮に感染症患者が出た場合どうなるのか?というのは皆さんけっこう気になっていると思います。
昨日の議院運営委員会の申し合わせでは、公人であることに鑑み、仮に陽性患者が出た場合は速やかにその氏名が公表されることになったそうです。
2月後半から3月はほとんどの会合がキャンセルになっているとはいえ、議員は活動範囲が広いので、公表されたらかなり影響力が大きそうですね…。
そうなった場合、国会が休会になるのかどうかまではまだわかりませんが、おそらくインフルエンザと同じ対応(当該議員は登院停止)が検討されるのかなと思います。
もちろん、いまの感染症の広がりを見ると国会議員・関係者に患者が出る可能性は否定できず、休会の可能性も含めて予断を許さない状況です。
我々も手洗いなど基本的なことを徹底するとともに、安倍総理におかれましては、幸い今日からは週末なのでじっくりと休んでいただきたいなと思うばかりです。
以下、昨日の質問原稿全文を掲載しておきます。
それでは、また明日。
■
令和2年3月6日(金) 参議院本会議 質問原稿
日本維新の会 音喜多駿
日本維新の会の音喜多駿です。所得税法等の一部を改正する法律案について、我が党を代表して質問させていただきます。
冒頭、今般の新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。
はじめに、税制に関連して、新型感染症にかかる、経済対策についてうかがいます。
昨年10月に強行された消費税の増税以降、景気の落ち込みが顕在化しています。2月17日に内閣府が発表した昨年10月から12月の国内総生産の速報値は、実質で前期比1.6%減、年率換算では6.3%減でした。この結果は到底、暖冬や災害の影響であるとは考えられません。さらに今回の新型コロナウイルスの発生は、景気にさらなる悪影響を及ぼすことは確実です。
3月2日時点において、政府が示している新型感染症に係る経済対策の予算規模は2,700億円であり、諸外国と比較にならないほど小規模なものにとどまります。香港は1兆7千億円、シンガポールは5,000億円といった予算額が示されており、対GDP比でいうとそれぞれ1%を超える規模のものとなっています。日本政府は休業補償など散発的な政策を打ち出しているものの、市場に対するメッセージとしては極めて脆弱であり、このままではさらなる景気後退を避けることができません。
そこで我々は、軽減税率を全品目に適用し、消費税を実質8%に戻す減税政策を提案します。昨年の消費税の増税は、明確な失敗でした。しかし、あやまちては あらたむるに はばかることなかれ。軽減税率という複雑で不合理な仕組みを是正し、消費税の減税を景気対策における最大の意思表示とするべきと考えますが、安倍総理のご決断を求めます。
また、一斉の臨時休校に伴う休業補償については、既にフリーランス等が対象に含まれないとの指摘があり、十分なものとは言えません。組織所属の有無にかかわらず、漏れなく機動的に「直接給付」できるスキームを早期に講じ、発表すべきと考えますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
併せて、こうした減税や補償などの大胆な財政出動を行うに際して、10兆円規模の早急な補正予算の編成を視野に入れるべきと考えますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
次に、5G投資促進税制に関連して、ICT活用についてお伺いいたします。我が国の医療・教育現場におけるICT活用は極めて不十分であり、とりわけ今回の感染症対応については改善点がいくつも散見されます。医療については、何よりオンライン診療の活用が急務です。
今すべきことの一つは、軽症あるいは感染の疑いの低い方については、感染拡大防止のため、病院での受診も含めて外出を控えていただくことです。そのためにも、既存のオンライン診療等を活用するべきですが、課題が山積みとなっています。
先日の予算委員会でも、我が党所属で医師でもある梅村聡議員が、特定の管理料の算出対象となる患者、すなわち、病名でオンライン診療の対象が絞られている問題点を指摘し、大臣は「安全安心の観点から」病名で制限・区分していることを答弁されました。しかしながら、病名でオンライン診療を絞ることにより、例えば一過性脳虚血発作の患者もオンライン診療可能となっています。この発作は早い時期に脳梗塞に移行する病気であり、対面が必須、入院も検討されるものです。これは、安全安心確保の観点から矛盾していると考えますが、政府の見解をうかがいます。
また、こうした例もあることから、病名でオンライン診療の対象を絞ることは合理的ではなく、かつ、オンライン診療の普及の妨げになっており、改善が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
そして今般の感染症の危機は、何より「オンライン診療」普及の契機でもあります。新型コロナウイルスの感染症治療において、軽症であればオンライン診療を活用できる、あるいはオンライン受診勧奨を保険適用できるなどして、移動や受診における感染が広がらないよう、柔軟かつ機動的な診療体制を構築するべきと考えますが、総理の見解をうかがいます。
次に、一斉休校に密接に関わる、オンライン授業の推進についてです。教育現場におけるICT活用についても、我が国は心もとないのが現状です。今般の感染症拡大により、中国や台湾では遠隔教育のための環境整備が進められています。我が国においてもこの一斉休校を機に、児童生徒の学習が滞ることがないように、十分に配慮する必要があります。
すでに文部科学省は臨時休業期間における学習支援コンテンツを公式サイト上で公表し、民間でも無料でオンライン授業を提供する事業者が出てきています。このような民間企業とも連携し、国は遠隔授業を積極的に推進するべきと考えますが、政府の見解を伺います。
一方で、そもそも教育のオンライン化には、まず教員や学校そのもののICTスキルを高めることが必要です。残念ながら我が国の教育現場におけるICT活用の意識は極めて低く、授業のオンライン化・ICT機器の活用以前の問題になっています。
例えば、今回の一斉休校に際して、その説明のために、全校保護者会を開催した学校があります。これは感染を防ぐために、まったく真逆の対応です。未だに日本の学校は、人を集める・プリントや連絡帳を渡すというアナログな情報伝達手段が主流であり、私の娘の小学校でも、欠席するときはお友達に連絡ノートを預けに行きます。こうした対応が常態化している社会では、人から人へ感染症が爆発的に広まることは容易に想像できます。今回の一斉休校を契機に、学校と保護者の伝達は原則オンラインで行うなど、文部科学省は明確なガイドラインを早急に策定し、自治体に通知すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
また、現在政府が進めるGIGAスクール構想において、児童生徒に1人1台の学習PC・タブレットを配布することが推進されています。家庭で利用できる環境が重要であり、自宅への持ち帰りを推奨すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
そして5G社会でこうした教育のICT化・遠隔授業導入を進めるにあたっては、自宅でのネット環境は言うまでもなく重要です。他方、現在香川県では子どもたちのネット・ゲーム利用を1日1時間に制限する条例を定める動きがあり、時代に逆行していることを懸念しています。ネットやゲームを時間制限することに対しては、依存症防止に資するという科学的根拠が乏しく、慎重な対応が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
次に、ひとり親家庭への支援について伺います。今回の所得税法の改正において、寡婦(寡夫)控除の対象拡大や所得制限に関する男女間の格差が撤廃されることを評価し、賛同いたします。しかしながら、これは小さな一歩に過ぎません。
厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、ひとり親家庭の相対的貧困率は過去20年間、ほとんど改善しておりません。私の妻は、元シングルマザーです。まさに政治の不作為によって、長きに渡って困窮しているこの問題の当事者たちから、切実な思いを長きに渡って聞いて参りました。
令和元年度における厚生労働省のひとり親家庭等自立支援関係の予算は約4,300億円となっているものの、状況が長期間に渡ってまったく改善しない以上、そもそもこの施策に費やす予算額が、絶対的に不足しているのではないでしょうか。予算を策定するにあたり、各種統計などを参考にしていると思われますが、ひとり親支援に関して、諸外国と比較した適正な予算規模の検証を行っているのか。そもそも、そうした比較調査のデータを持っているのかどうか、政府に現状を伺います。
大阪市ではひとり親家庭に対して、全国の市区町村・国に先駆けて養育費の受け取り保証を打ち出すなど、総合的な支援を行って参りました。国は長年の課題でありながら進展が見られなかった、ひとり親世帯の貧困解決のために、その支援に資する予算支出の大胆な拡充を検討し、貧困率の抜本的な解決に乗り出すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
最後に、関連して選択的夫婦別姓について伺います。離婚後のひとり親の負担軽減のためにも、選択的夫婦別姓の導入は重要です。
再婚家庭・ステップファミリーである我が家の長女は、二度、名字を変えています。私との間に、血の繋がりはありません。選択的夫婦別姓に難色を示す人の中には、子どもとの関係を反対理由とし、親と名字が異なる子どもが可哀想、家族の一体感が保てないと主張される方がいます。親と子で何かが異なれば、家族の一体感は、保つことができないのでしょうか。自信を持って申し上げます。家族の絆に、人間関係の絆に、名字の同一性や血の繋がりは、まったく関係がありません。
かねてから我が党が指摘してきた通り、選択的夫婦別姓といっても、戸籍筆頭者の氏を用いるのか、出生時に子どもの氏を決定するのか、様々なバリエーションが存在します。選択的夫婦別姓を実現させるためには、抽象的な賛否だけなく、現時点で不利益を被る方の立場に立ち、子の氏や民法・戸籍法にかかる制度設計レベルの議論を始めるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
また、裁判官が旧姓で判決文を書くことが可能であることを踏まえると、公的にも別姓を用いることには、既になんら弊害はないと考えますが、総理の見解を伺います。
日本維新の会は、1月の段階で「新型コロナウイルス関連肺炎対策本部」を設置し、2月3日にはいち早く提言を取りまとめ、提出いたしました。この未曾有の国難に対しては、批判すべきは指摘しながらも、政府与党に建設的な政策提案を行っていくことをお誓いし、私からの質問を終わります。
了
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年3月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。