「関係人口」では、できないこと

井上 貴至

移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々「関係人口」を増やそう!という動きが広がっている。

acworks/写真AC:編集部

私自身も、東京で、地方で、さまざまな形で地域と関わってきたし、「関係人口」を増やそう!という動きは、心強く思っている。

もう5年以上前に書いた記事ですが。

小田切先生「本当に農山村は消滅しないんですか」

しかし、「関係人口」では、できないこと・難しいことがある。

地域の中では、目立たない人の発掘だ。

地域の中で目立つ人は、見つけやすい。しかし、目立つ人は、本業がいそがしかったり、既に地域の中でさまざまな役割を担っている。能力や意欲が高くても、新しいことを始める余力が少なかったり、増え続ける役割に疲れているときもある。

子育てに目途がついたお母さん・お父さん、数年間働いて少し慣れてきた若手職員など、今は地域の中で目立たないが、何かやりたい!と思っている人の力をうまく生かすことができたら、物事はすすみやすい

もちろん、こういう人たちにとっては初めてのことなので、やり方やしきたり、感覚があまり身についていないこともあるが、足りないところをうまくサポートしたり、チームをつくることで、大きな力が生まれる

目立たない人の発掘は、その土地に住まなければ、なかなか難しいだろう。逆に言えば、地域の公務員始めその土地に住まう人だからこそできることだ。地域の中で関係性と信頼関係を育み、目立たないが、やりたい!人を発掘する仲間も増やしていきたい。

<井上貴至 プロフィール>


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。