コロナウイルスに負けない「集客の秘密」

内藤 忍

コロナショックによって飲食店や宿泊施設の多くは、予約のキャンセルや来店者数の減少で厳しい状況に陥っています。ところが、そんな中でも相変わらず安定した経営を続けているところも存在します。

私が宿泊している奥飛騨温泉の風屋さん(写真)は、実は資産設計実践会の投資先となっている宿泊施設です。

宿泊客数はコロナショックでさすがに減っているものの、今週も週末は満室です。周辺の宿泊施設は、予約がほとんど無い状態で、中には休業している旅館もあるくらいですから、驚異的な稼働率といえます。

あるいは、東京の予約の取れない人気のお寿司屋さんも、相変わらずキャンセルはほとんど出ない状態が続いています。

このようなコロナウィルスに影響されにくい経営を行うにはどうしたらよいのでしょうか。共通する3つのポイントを考えてみました。

1.リピーターを増やし、固定ファンを作っておく

固定ファンのいる寿司店では、ほとんどの来店者が次回の予約を取って帰って行きます。

また、固定ファンは今回のような来店者が減少すると、お店を応援しようと来店してくれたりします。

熱狂的なファンがいればいるほど、逆境時にも彼らが支えてくれ、一見客に頼らない経営ができるのです。

2.大口の団体客を狙うのではなく、小口の個人のお客様をターゲットとする

コロナショックによる自粛により、大人数の会社の行事が中止になるケースが増えました。

あるいは海外からの団体旅行のキャンセルも多かったと聞きます。

このような大人数の団体客を対象とするビジネスは、効率性は高いかもしれませんが、マーケット環境の影響受けやすいといえます。

顧客層を分散し、変化に影響されにくいマーケットを狙うことが重要です。

3.価格を上回る高品質なサービスを安定的に供給する

今回のようにマーケット需要が一時的に減少すると、顧客の選択肢が広くなり、「価値>価格」のサービスに顧客が集まるようになります。

本当に価格に見合った価値を提供しているかが、より厳しく問われるようになるのです。

私が宿泊した風屋さんも、決して高級な宿ではありませんが、掛け流しの温泉と、清潔な客室、美味しいお料理、そして日本人と英語が堪能なネパール人によるホスピタリティあふれるサービスが、宿泊サイトで高い評価を得ています。

コロナショックが発生してから、急にできることは限られます。日頃の経営のやり方の違いが、有事になると大きな差になって現れるのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。