知っトク解説:今回は“国民生活安定緊急措置法”

中田 宏

中田宏の知っトク解説。今回は“国民生活安定緊急措置法”です。

3月5日から新型コロナウイルスの感染拡大防止のために政府は感染が拡大している、北海道中富良野町と北見市の全世帯6万4000世帯にマスクの配布を始めました。

国が国民にマスクを配る異例の事態です。
全国的にマスクが品薄になっている中、感染が相次いでいる地域に優先的にマスクを供給したその根拠は、国民生活安定緊急措置法という法律です。

この法律は1973年に制定されました。この年、第1次オイルショックがあり、それを受けての制定でした。

オイルショックのとき、トイレットペーパーや洗剤、砂糖や醤油まで買い占められて品薄になったり、価格が高騰するなどして、国民生活に大きな影響が出たからです。そこで異常事態のときそこで異常事態によって、国民生活に必要な物資が足りなくなったり、価格が高騰したりした場合に、国が国民の生活を安定させるために作られました。

不足している物質を国が確保したり、高騰した価格に対して標準価格という価格を設定したり、物資の輸送や保管などについても国が指示することができます。また、転売などで不当に高く売ったものに対しては課徴金、違反者に対しては懲役刑を含む罰則や罰金なども設けられています。国がこの法律に基づいて今回のように特定の物資を国への売り渡しを指示したのは初めてのことです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。