五感で感じる水素エネルギー社会 ~ 東京オリ・パラショーケース

12月21日(土)に東京都がサポートする「TOKYOミエルスイソ」がお台場MEGA WAVEで開催されました。五感に訴える水素エネルギーがメインテーマです。五感つまり「視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚」に訴えかける事によって、理屈ではなく、感性で水素エネルギーを感じてもらうというものです。

この五感に訴える水素は、多摩大学ルール形成戦略研究所(CRS)、自民党水素社会推進議員連盟、そして小池ゆりこ都知事が思いを同じにしていることで、東京オリンピック・パラリンピックでの「水素エネルギー社会のショーケース」を構築する1つでもあります。燃料電池自動車(FCV)、燃料電池バス、燃料電池フォークリフト、産業用・家庭用燃料電池、水素ステーション等、インフラ・製造物の数や質をショーケース化し、世界に誇っても、今や陳腐にものになってしまいます。

平昌オリンピックでは、ヒュンダイ自動車製バス用燃料電池搭載FCバスが走っていたし、FCVのオリンピック関係者の送迎等も行われいました。東京オリ・パラでは、水素エネルギー社会を多くの人々に理解してもらうためにも、利活用を示していくことが1つのミッションであると思います。

今回のイベントは、福島の産総研でつくられたCO2フリー水素をFCVに充填し、その電気を利用して5感に訴えるというコンセプトになっています。先ずは「視覚」、FCVで作り出された電気でプロジェクションマッピングを行い、停車中のMIRAIをいかにも走っているように見せていました。とても興味深く、特にホイールの回転映像は必見でした。

「聴覚」はお馴染みの水素燃料電池コンサートです。WEAVERという若手グループによるコンサートでしたが、開演時間の関係で見ることが出来ず残念でした。同じ日にLUNASEAが、水素燃料電池コンサートをさいたまスーパーアリーナで開催するので、そこに行かなくてはならなかったからです。12月はアイルランドの世界的ロックバンドU2、そして、LUNASEAと水素燃料電池コンサートも少しづつ広がり始めています。二酸化炭素を出さずに、良い音を奏でることが出来るのが、水素燃料電池コンサートの特徴なのです。

 「味覚」は、FCVの電気で沸かしたお湯を使いコーヒーを飲ませてくれます。味覚に関しては水素でつくった電気を使って、ということではなく、水素を燃焼させて食材を焼くという水素料理を提供できるようにしたいものです。先ずは、水素調理器具を開発することに力を注ぐ必要があります。3年前まで、世界にただ1つ、藤沢に水素料理を提供するお店がありました。もう一度、その水素料理を復活させなくてはいけません。

 「触覚」は、FCVを電源とした手のマッサージを体験できます。しかし、これも、電気にこだわる必要がないと思います。水素そのものを使う、水素足湯、水素銭湯など、疲労や健康に関する体験が提供できる仕組みをつくれたら良いと思うのです。

 「臭覚」は、FCVの電気のよるアロマディフューザーで、果物や植物の香りを体験できる。これも、電気というより、水素という気体そのものを吸う、水素吸引による疲労回復体験が良いと思います。

水素エネルギー社会を多くの方々に理解してもらうには、アプローチを工夫すること、特に女性ファンを掴むことが最重要課題と考えます。エネルギーのシンポジウムに行くと95%は男性、それは水素エネルギーも同じなのです。でも、自動車を購入する時に主導権を持つのは女性、家の新・増改築の主導権も女性、つまりFCVを買うのも、エネファームを買うのも、女性の意見なしに買えるわけがないのです。だから、水素エネルギー社会が広がらないのです。

なら、生活に近いところで五感に訴え、インフラだけでなく、医療・健康・美容・アンチエージングにフォーカスすることがいかに大切かお分かり頂けると思います。今回の東京都の取り組みはそのファーストステップ、とても素晴らしいものでした。更にブラッシュアップさせて、水素エネルギー社会の理解促進を日本、そして世界に広げていくことが、東京オリ・パラの役目だと思います。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2020年3月9日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。