エジプトで400年間、奴隷生活を強いられてきたイスラエル民族を“神の約束の地”カナンに導いたモーセは神から十戒を刻み込んだ石盤をもらった話(旧約聖書、出エジプト記)は映画化もされているのでご存じだろう。
モーセ時代から約3600年後の2020年、中国武漢発の新型コロナウイルスが世界を震撼させ、現時点で3000人以上の死者が出ている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、世界的な流行を意味する「パンデミック」宣言をしたばかりだ。トランプ米政権は同日、欧州からの米国入国を制限するなど、欧州が今日、新型コロナウイルスの最大の感染地となってきている。
オーストリアのメトロ新聞「ホイテ」は11日、「モーセの十戒」に倣い、新型コロナウイルスに対抗するため現代人が守らなければならない「新型コロナ十戒」を報じている。日本の読者にも参考になると思うので紹介する。
①汝は自身の手を徹底的に洗わなければならない
②汝は新型コロナウイルスの症状が出ても、病院や医者の所に駆け込んではならない
③汝は相手と握手してはならない
④汝は緊急時用の保存食糧などを準備しなければならない(2週間分)
⑤汝は新型肺炎感染者とは距離を置くべきだ
⑥汝は社会的コンタクトを制限しなければならない
⑦汝は子供をリスク・グループ(高齢者や持病持ち者)に接近させてはならない
⑧汝は隔離施設の規則を遵守しなければならない
⑨汝は感染した場合を想定して、救援者を探しておかなければならない
⑩汝はテレビやラジオを通じて新型肺炎について最新情報を入手しなければならない
以上、各項目を説明する必要はないだろう。
「モーセの十戒」の時代、多くのイスラエル人はモーセの言うことを聞かず、中傷、罵倒し、十戒を守らなかった。そのため、神の約束の地に入るのが遅れた。上記の「コロナ十戒」の時代、新型肺炎対策の十戒や政府の決定事項を遵守し、モーセ時代の過ちを繰り返さないようにしなければならない。
欧州のウイルス専門家は、「新型コロナウイルスをインフルエンザと比較して論じることは止めるべきだ。なぜなら、新型コロナウイルスはインフルエンザとは全く異なっているから」と警告している。「インフルエンザで年間多くの死者が出ているが、新型肺炎の場合、それと比較すると…」といった論理は非常に危険だという。新型コロナの正体が不明な現時点では、冷静に対応しなければ大変な事態となるというわけだ。
蛇足となるが、米TV番組「Good Doctor」の話だ。米カリフォルニア州の聖ボナベントゥラ病院のアンドリュース博士が、自閉症でサヴァン症候群で特殊能力を持つ外科研究医のショーン・マーフィー(主人公)に、「笑いは感染しやすく、人を喜ばすものだ」と述べるシーンがある。
「笑い」は人の免疫を強めるともいわれている。新型コロナウイルスの感染拡大でスポーツや音楽などのイベントが次々と中止、ないしは延期されている時だけに、笑顔を忘れずに新型コロナ対策には冷静に臨んでいきたいものだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。