こんばんは。恩田聖敬です。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気に6年前になりました。
現在、株式会社まんまる笑店の代表取締役社長を務めています。株式会社まんまる笑店とは2016年6月30日に設立された会社です。ALSでも働きたいという私のわがままだけが詰まった会社です。そんな私のわがまま創業資金集めのクラウドファンディングに、300余名から800万円強の資金が集まりました。それに自身の出資金100万円を加えてまんまる笑店はスタートしました。
しかしスタート3年目終了時で、手元資金は僅か50万円、純資産は5万円と債務超過ギリギリまで追い詰められました。指摘をされる前に誤解なきよう申し上げますが、私の役員報酬は創業時から現在まで変わらず月2万円です。社会保険と年金の最低ランクを控除出来る金額設定にしています。よって手取りは8,000円くらいです。生活の足しには全くなっていません。
今の私の生活費は障害年金と民間保険の収入保障によってなんとか成り立っています。つまり「生きるため」に働く必要はないのです。私はまんまる笑店を「生きるため」に作ったのではなく、「自分らしく生きるため」に作ったのです。
ここだけの話ですが、私がFC岐阜の社長に就任した時、前職に比べて報酬は大幅にダウンしました。東京の上場企業から地方の当時慢性赤字の中小企業への転職ですから、当然と言えば当然の話です。最初の頃はモヤモヤがありましたが、社長として働き出した途端にモヤモヤはすぐに消し飛びました。仕事があまりにも楽し過ぎたからです。私の愛する故郷岐阜県を、スポーツを通して盛り上げる陣頭指揮を取る仕事、FC岐阜の社長はそんな仕事でした。
「お金は生きられるだけもらえればいい」FC岐阜社長就任まで、そんなの綺麗事だと私は思っていました。働いた成果に応じて対価である報酬は上がって当然と思い、実際FC岐阜に来る前は成果を出して報酬アップを勝ち取ってきました。しかし私は心から綺麗事を言える『天職』に出会ってしまったのです。しかしFC岐阜社長という天職はALSによって奪いさらわれました。本当に無念でした。
私は奪われた天職を、もう一度自分で再生するために株式会社まんまる笑店を作りました。だから会社が存続出来るだけ稼げて、私の好きなことがやり続けられれば十分なのです。
話を戻しますが、まんまる笑店3年目には大きなターニングポイントが二つありました。私の人工呼吸器装着手術のための3ヶ月の入院と常勤秘書の私的事情の退職です。人工呼吸器装着後は、仕事よりまずは在宅で生きる生活体制の構築が優先でした。それにより、まんまる笑店はほぼ1年開店休業状態でした。その一方で常勤秘書は創業以来、各種手続き、講演スタイルの基盤作り、どこへ行くにも運転手と一心に私を支えてくれました。
また業務に止まらずヘルパーの資格を取り、介護面においても公私を超えて私と家族を支援してくれました。私は彼に大きく甘えていました。幸か不幸か、そんな秘書の退職が無ければ彼の人件費でまんまる笑店の資金繰りは破綻してました。常勤で人を雇うという私の目論見が甘過ぎました。障害者も自分で出来ることは全部しないと駄目なんです。フリーランスの世界の厳しさを思い知らされました。
一人体制で迎えたまんまる笑店4年目、やれることは全て自分でやり、どうしようもないことのみスポットで人を雇うスタンスに変えてからようやく光が見えてきました。講演のオファーも順調に入り、まんまる笑店4年目にしてついに黒字化が現実味を帯びてきました。今の私にとって講演は天職です。やりたい仕事をやり続けられる環境が整いつつありました。
しかしまたもや天職を奪われる事件が発生します。コロナショックです。コロナの影響で私の講演は軒並み無期限延期に追い込まれています。ALSといいコロナといい、どうしてこの世はこんなにも理不尽なのでしょうか?今は時間を持て余しています。やれることがない状況は本当にしんどいです。この原稿も暇に任せてとりとめなく書いたものです。
私は岐阜県の聖火ランナーに選ばれていますが、日程が4月第1週なので今の世相を鑑みるに通常開催は非常に怪しいです。何もかも上手くいきません。
今は自分の無力さを感じずにはいられません。天賦の才のないどぶ板営業しか出来ない自分に、それさえさせてもらえない環境下ではどうしようもありません。しかし理不尽を嘆いても事態が好転するわけではないので、今は耐え忍んで執筆とYouTubeに専念します。私は諦めません!
外出出来ずにこの記事を読んで頂いている皆様、暇潰しで全く構わないので他のブログとYouTubeをのぞいて見てください。きっと暇潰しくらいにはなると思います。
株式会社まんまる笑店
代表取締役社長
恩田 聖敬
この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ元社長)のブログ「ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」2020年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。