オハイオ州が民主党予備選延期、新型コロナ感染拡大の余波

(カバー写真:Tim Evanson/Flickr)

米国の新型コロナウイルス感染者数が、4,000人を突破しました。

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(作成:My Big Apple NY)

こちらで非常事態宣言を行った州を紹介した時はわずかでしたが、16日時点ではシントンD.C.を合わせ全米50州が発動済み。13日のトランプ大統領による国家非常事態宣言も、影響したに違いありません。一番最後はウエストバージニア州で、感染者ゼロだというのに宣言しました。ウエストバージニア州と言えば、名曲「カントリー・ロード」と石炭で知られますが、全米で世帯収入最下位で、中国企業からの支援を仰いだこともありました。

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(作成:My Big Apple NY)

感染者数の動向をみると、いつのまにか上位に変動が起こっていました。米国で初の感染者を確認したワシントン州やカリフォルニア州を抜き去り、NY州が感染者数1位に浮上。16日朝にクオモNY州知事の音頭でニュージャージー州、コネチカット州の3州(トライステート)が足並みをそろえ①50人以上のイベント開催・集会の禁止、②劇場やジムなどの娯楽施設の閉鎖、③レストランやバーなど飲食店の営業はテイクアウト、デリバリーに限定――とする対策を決定したはずです。

ニュージャージー州は16日、一歩進んだ取り組みを開始しました。州民に対し、午後8時から午前5時まで、外出自粛を要請したのです。フランスやイタリアなどに倣った、実質的な外出禁止令と言えるでしょう。

感染者数が増加しようが対策を講じようが、無情にも時は経過します。17日には、オハイオ州やフロリダ州、イリノイ州、アリゾナ州の4州で民主党予備選が行われますが、ここへきてオハイオ州のデワイン知事(共和党)が民主党予備選の投票所閉鎖という決断を下しました。理由は「公共衛生上の危機」――すなわち感染拡大の防止。

予備選直前になって6月への延期を進めていた州政府に対し司法がこれを認めない判断を下したものの、非常事態宣言の下で州保健省のアクトン長官の命令で予備選見送りに持ち込みました。少なくとも現時点で、非常事態宣言が解除されるまで投票は延期となる見通しです。なお、予備選そのものが先送りされたケースとしては、2001年9月の同時多発テロ事件直後に予定していたNY市長予備選が挙げられ、9月11日から同25日に先送りしていました。

17日の予備選では、フロリダ州を含む3州が通常通り予備選を行う予定ですが、3月24日に控えるジョージア州、4月4日のワイオミング州とルイジアナ州、5月19日のケンタッキー州など4州も、延期を決定。ジョージア州は5月19日に変更し、ルイジアナ州は6月20日、ケンタッキー州は6月23日に振り替えます。ワイオミング州は党員集会のところ、3月20日までの不在者投票推奨へ舵を切りました。

そうなると、気になるのが4月28日の動向です。感染者数1位のNYやコネチカット州など北東部6州は4月28日に集中しますが、果たして「50人以上の集会」に該当しうる予備選を開催できるのか。新型コロナウイルスの影響で、選挙の行方にも影を投げ掛け始めています。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年3月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。