(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
イタリアが新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によって国家の危機を迎えている。中国から遠く離れたイタリアで、なぜ中国発のウイルスがこれほど感染者を生み出したのか。
米欧の専門家たちの間では、イタリアが近年「一帯一路」への参加などを通じて、中国との絆を異様なほど緊密にしてきたことが今回の感染拡大の最大の温床となったとする見解が広まってきた。
中国との経済交流をどんどん拡大
各国が新型コロナウイルスへの対応に注力するなか、3月後半現時点でイタリアの苦境は突出してみえる。3月19日にはイタリアでの死者が合計4032人を記録し、中国の3200人台を一気に超えてしまった。さらにその後の数日で、イタリアの死者は5000人を超え、感染者も5万数千人と中国以外では最多となった。
イタリアは地理的には中国からはるかに離れている。それにもかかわらず、なぜ中国に次ぐ新型コロナウイルス感染国となったのか。
米国の首都ワシントンでは、米国での感染対策を検討するなかで、「イタリアのようにはならないように」という観点からも、なぜイタリアでこれほど新型コロナウイルスの感染が拡大したのかについて多角的に論じられるようになった。
それらの分析の多くには、ある共通点がある。それは、イタリアと中国の近年の密接な経済関係をイタリアでの急激な感染拡大の背景として特徴づけていたことだ。