春よ来い!あと数週間を耐え忍ぶ

3月20日付のブログで私は「こつんと感じた」と書かせて頂きました。3月15日には「人々の最大の注目はオリンピックなのです。この行方がわからないことが最大のネックだと思っています。よっていつまでも希望的観測のようなコメントではなく、IOCとの協議の結果、どうなるというはっきりした答えを打ち出すべきです。3月中に決める、これが首相の最大のメッセージとなるのではないでしょうか?」と書かせて頂きました。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

安倍首相はIOCバッハ会長との電話協議で1年程度の延期を決めました。よかったと思います。国民の多くもそれに賛同していました。最終トリガーはカナダが参加しないと発表したことでしょう。動きの鈍いIOCの背中を押すことになりました。私は「おいしいものを今、食べるのか、あとから食べるのかの違い」と述べました。1年程度の延期をこれからプラス転換にする方策を考えるべきです。

私は今、霧が晴れつつあります。あとは目の前のビジネスの影響を最小限に抑え、周りの日系のビジネス仲間共々協調しながら早い回復となること、そしてもう一つは3月10日に記載したように「OPECとロシアが再度、テーブルにつき、緊急対策を立て、減産で合意」であります。

新型肺炎はスペインで加速的悪化となっており、アメリカも新規感染者が激増しています。ただ市場と経済活動は常にその先を見ています。昨日の当地の新聞にはNYのタイムズスクェアやワシントンDCの議事堂前の人影がない写真と併せて上野で桜を楽しむぎゅう詰めの人だかりの写真が出ていました。あまりの好対照に思わず笑ってしまったのですが、必ず良くなるというシグナルだと私は認識しています。

昨日、私は商業施設のテナントに対して向こう3カ月間、最大100%の賃料減額を提示しました。大家としてかなり思い切ったオファーだと思いますが、私は「痛み分け」という気持ちでできる限りのご提案を差し上げ、末永くビジネスが繁栄してもらいたいとメッセージを送りました。併せて「悪い時はいつまでも続かない、日本や中国は既に回復期に入っている、だから我々の春も近い」とエールを送りました。

今、世界各国から経済対策が発表されています。各国の州自治体レベルまで合わせると史上最高のとてつもない支援プログラムであるはずです。今、我々に必要なのはメンタルリカバリーであります。先が見えないトンネルなのか、出口が見えているのか、これがキーなのです。

今後、企業、特に中小の生き残り対策が急がれます。実態面としては3月23日付の通り「(カナダでは)経営者対策はどうなのか、といえば政府からはほとんど救済策がありません。小規模事業者に「死ね」と言っているようなもの」であります。昨日、カナダのBC州が4000億円規模の経済支援策を発表しました。ただ、内容は小粒で何をもって4000億円規模と言っているのか、さっぱりわかりません。懇意にしている某大臣にSNSで「発表はありがたく思っているが、個人事業主は死につつある。店を開けられないのだから固定費を回避できない危機感がある」と意見させてもらいました。

あとは産油量の調整になります。プーチン大統領は再交渉のテーブルに乗る理由を求めています。再交渉したくてしょうがないのが本心でしょう。トランプ大統領が介入すると言及しているので近いうちに何かあるとみています。ロシアは今の価格である20ドル台前半では全くやっていけません。サウジは原油の原価こそ10ドル程度とされますが、国家予算は80ドルで組んでいます。つまり、今の20ドル台はshort lived(短命)であることは確実なのです。この調整が決まればアメリカ、カナダを中心に市場には極めて明るいムードが出てきます。これは確約です。

私も日本への出張のタイミングを見計らい始めました。カナダの2週間の自宅隔離規制が取れるのがいつかを先読みしないと人が一斉に動き出すので飛行機が取れなくなるリスクがあるのです。日本ではオーバーシュートなどのリスクを頭に入れ、海外からの帰国感染者の把握に注力し、クラスターを防げれば遅い春はさほど遠くないと思っています。

私は立場上、当地の日系の事業者の状況も目配せしなくてはいけないのですが、あと数週間を耐え忍ぶ方策を考えていきたいと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年3月25日の記事より転載させていただきました。