きくちゆうきさんがツイッターで公開した、“100日後に死ぬワニ”という漫画が話題になっていいました。その主人公のワニがついにと言ったらなんですけれども3月20日に死んだそうです。まるで知らないという方にちょっとだけ解説をすると、主人公はワニくんというキャラクターです。そのワニくんが連載開始から100日後に死ぬという設定ですが、ワニくん自身は死ぬことを知りません。
自分がいつ死ぬかということを知らなければ、目の前のことをやって、時にのほほんとして過ごすというのは我々だってそうだと思います。そんな主人公ワニくんの何気ない日常が描かれており、作者のきくちさんのツイッターに毎日4コマ漫画がアップされ、必ず4コマの最後に、「死ぬまであと〇〇日」と書かれていました。先ほどの通り、ワニくんは死ぬことを知らず、読んでいる人はあと何日と知っているわけです。ですから、毎日読み進めていると、「死ぬまで、あと何日しかないんだぞ、おいおい、そんなことしている場合じゃないだろう」と感情移入をすることで、じわじわと人気が出てきました。
ところが3月20日、ワニくんが死んで連載が終わった後、炎上してしまいました。なぜかというと、お約束通りワニくんが100日で死にましたが、その直後からグッズの売り出し、映画化決定、書籍化決定、イベント告知などが次々と出たからです。こういった告知が出たことによってステマとか、大手広告代理店の電通が絡んでいる電通案件と批判が集まりました。
なぜ炎上したかというと、インターネットは基本的に無料で、課金や有料であるコンテンツはわかるようにして行うというのがルールです。先ほどステマと言いましたけれども、ステマというのはステルスマーケティングの略で、広告やPRであることを隠してインターネット上に掲載し、販売や誘導をすることを意味します。また今回、電通案件という言葉に、実にネガティブな意味が込められていることを今回初めて知りました。すなわち、電通が既存社会におけるぼろ儲け組織体のように思われていることです。
今回の場合は“死”が前提である物語の感動に対して、一気に商業性を帯びたことについて、事の顛末について作者であるきくちさんが電通は絡んでいないと釈明する事態に至りました。
しかしこの漫画、100日後に自分が死ぬとした場合、「今何をやるべきか、やれるか」ということについて考えるいい機会にはなりました。100日後というのはともかくとして、必ず100日、その先の延長線上に死はやって来るわけです。ですから、「今やるべきこと」と「やらなくていいこと」を考えて生きていきたいと思いましたし、「明日死んでもいいという生き方」をしなければいけないなと思いました。
100日より全然短くなってしまいましたけどね。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。