新型コロナウイルスの感染者急増を受けて、東京都が都立学校の休校措置を5月のゴールデンウィークまで延長する方針を発表したことに続き、文京区、北区などの自治体も次々に休校延長を決定しています。
休校延長の動きが全国で広がる中、心配なのが、年間の授業数を確保できないことによる児童生徒の学力低下です。
そこで、今注目されているのが、オンライン教育。
3月1日には、遠隔での授業、保護者会などを行えるように、米Zoom Video Communications社がクラウド型ビデオ会議サービス「Zoom」を教育関係者向けに無料で提供すると発表※1するなど、オンライン教育を広げる動きがあります。
PCやインターネット環境がない家庭も存在
しかし、オンライン教育を受けるために当然必要となるPCやインターネット環境がないご家庭があることをご存知でしょうか。
総務省の「平成30年通信利用動向調査」※2によると、大人2人以下と子ども(19歳以下)からなる世帯において、PCを保有していない割合が14.6%、インターネットを自宅で利用していない割合が3.5%、オンライン教育を受けられる環境にない子どもたちが存在することが見て取れます。
そして当然ながら低所得になればなるほどPC保有率が下がります。※3
つまり、所得格差が、デジタル格差、インターネット格差に繋がっていくのです。
至急PCとWi-Fiルータを提供すべし
このような状況を即座に解決するため、オンライン教育を進めるために、オンライン教育を受けられる環境にない子どもたちに至急PCとWi-Fiルータを提供してください!
全国の小中学生約960万人※4の1割(96万人)に提供するとして、PC1台10万円で、Wi-Fi利用料が年間4万円だとしても、全体で1,340億円程度です。数十兆円の経済対策を打とうとしている今、出せない額ではありません。
これは、長引く休校措置に応じた緊急措置という側面がありますが、オンライン教育を推し進めるための将来への投資でもあると考えると決して高くないのではないでしょうか。
コロナショックというピンチを、オンライン教育普及のチャンスに変えること。それこそが今、我々が子どもたちにすべきことではないでしょうか。
※1 【Zoom】遠隔授業向け クラウドビデオ会議サービス「Zoom」 ■学校への提供 ■無料(2020年4月30日まで)
※2 総務省「通信利用動向調査(世帯編)」
※3 世帯年収別にパソコンなどの普及率の現状をさぐる(2019年版)
※4 文部科学省「令和元年度学校基本調査」
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年4月4日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。