新型コロナ感染症について緊急事態宣言が発出されました。
政府に、極力国民の命と生活を守る仕事に専念してもらいつつ、効率的に国会の機能を果たすための提言を昨日書きました。
1. 2日間、国会質疑は休止
今日と明日の国会の委員会質疑は停止されたそうです。
拡散して下さった皆様、関係者の皆さま、国会議員の皆さま
ありがとうございます。
霞が関の現場をコロナ対策に専念させるという趣旨ではないかもしれませんが、とにもかくにも2日間対策に専念する時間をもらえたようです。
国会対応で徹夜していた職員も少し睡眠がとれるかもしれません。長期戦になるので、休める時に少しでも体を休めてがんばってほしいです。
2. もう一つの国会質問(質問主意書)
今日は、もう一つ国会と政府の関係により霞が関に尋常でない負担がかかっているものを紹介します。
質問主意書です。
国会議員が政府に質問するのは、本会議や各委員会で口頭で行われますが、審議時間が限られているので、委員会などで質問できなかった議員の質問する権利を確保するために、国会法という法律に位置づけられた仕組みです。
これにより、役所の中にあった情報が明らかになって、よくないことが改められたこともあるので、大切な制度です。
ただ、この「質問主意書」、現状では霞が関に尋常ではない負担を強いるルールになっています。
詳しく知りたい方は、下のNHKの記事を見ていただきたいですが、質問主意書を受け取ったら、担当の官僚は今やっていた仕事を全て後回しにして大至急対応します。ほぼ徹夜確定です。
そもそも、こんな異常な働き方を前提とした制度はおかしいので国会法を改正すべきです。
国会法第75条第2項に
内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。
と書いてあります。
この「内閣は」と「7日以内」が超きついのです。
内閣は=閣議決定という政府の意思決定で最も重い手続なので、とっても手続が大変です。
7日以内に=7日といっても、閣議決定するためには2日前に担当省庁が案を完成させてエントリーしないといけないので、実際には数日で完成させないといけません。
委員会質疑と同様、各省の大臣が答弁すればよいですし、迅速かつ簡潔な答弁をする必要があるとはいえ、7日間はさすがにきつい。
3. 激増する質問主意書
この質問主意書、元々は委員会などの国会審議の補完でしたが、2000年くらいから、たくさん出されるようになったので、実際に霞が関の業務をものすごく圧迫しています。
若手の官僚が一番苦しんでいるのが、この「質問主意書」業務です。これにより離職を決意する若手もいるようです。
4. コロナ関係の主意書がたくさん!!
今国会で衆議院で提出された質問主意書の一覧を作ってみました。黄色がコロナ関係です。加速度的に増えているのが分かります。
衆議院のHPで全部公開されているのですが、見る人のことを全く考えていない作りになっているので、一覧作るの大変…このHPも国会議事録検索のように情報取りやすいように変えるべきですね(汗
どの議員がどんな質問主意書を出しているのか、一覧を見たい方はこちらを。
5. 緊急事態宣言の下での質問主意書は極力控えて
委員会質疑のやり方も質問主意書も、
■充実した政策論議をすることや国民の知る権利に答えること
■効果的・効率的にやること
を両立させるために国会議員の先生方にはルールづくりのために議論を進めてほしいです。
でも、コロナ対策は今待ったなしの緊急事態です。
国民も色々な不便はありますが、感染しないこと、広めないことを優先して、いつもの生活を変えています。
霞が関の官僚たちに、対策そのものに専念させないと、本当に国民の生活が守れません。
厚労省にも感染者が出たと報道されています。本当に非常事態です。
コロナ関係の質問を「質問主意書」という形でするのは極力控えていただけないでしょうか。
質問や議論は、どうか可能な限り別の方法でお願いできれば幸いです。
編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2020年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。