※NY州の7日時点の現状などを受け、文章を調整しました。
米株相場が6日に大幅高を迎え、3月23日にボトムアウトしたかのようです。
協調減産で亀裂が生じたサウジアラビアとロシアに歩み寄りの兆しがみられ、VIX指数は50を割り込み、NY連銀が米国債の買入ペースの鈍化を表明。確かに相場は、好材料も重なり一時の乱高下から落ち着きを取り戻しつつあります。
この間、ウォール街でかなり弱気な米4~6月期成長見通しを掲げるモルガン・スタンレーは、3月26日に株式を始めとするリスク資産の底打ちを宣言しました。同じくQ2の成長率2桁減を見込むJPモルガン・チェースも、3月30日にリスク資産の反転を予想します。
何より、新型コロナウイルスの感染者数・死者数の増加ペースが頭打ちの様相を呈し、市場に安心感が流れているもよう。特に米国では、NY州で4月5日時点で死者数が初めて594人と前日の630人を下回ました。7日には一転し死者数が最多の731人に増加、その前段階で外出禁止措置を4月29日まで延長したとはいえ、クオモ知事は入院者数見通しにつき頭打ちする見通しも示します。
入院患者数、3日平均で着実に減少。
この入院者数の見通しを含め、ウォール街が注目する数字がございます。診療や入院、人工呼吸器利用など病院需要を元にワシントン大学の医療研究機関IHMEが新型コロナウイルス感染拡大のピークを試算したところ、米国は4月15日を境に減退していく見通しです。感染者数が4月6日時点で13万人超えのNY州でも、4月8日つまり明日と予測。事実、8日が近づくにつれ同州の死者数も漸く前月比で減少に転じた実績もあり、予測の信頼性を裏付けます。
外出自粛の効果が現れた、紛れもない証拠です。しかし、問題は経済回復のスピード。米4月雇用統計では非農業部門就労者数が前月比で2009年3月の80万人減を超える未曽有の急減見通しが聞かれ、まもなく本格化する決算発表では業績見通しの下方修正が相次ぐこと必至ですが、米株相場は耐え切れるのでしょうか。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年4月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。