それぞれ事情が違うのだから

新型コロナウイルス に対して緊急事態宣言が発令されて3日目。
できるだけ、外出しないようにしましょう。

新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめた当初、私も推奨しましたテレワークや在宅勤務をすでに進めてきた企業もある一方で、今回の緊急事態宣言発令を受けて踏み切った会社がいくつもあります。もちろん、在宅ではできない仕事も沢山あるのは当然わかります。例えば営業職などでは、「来ないで」と思っている人も少なからずいます。企業規模に関わらず、「在宅でやれることは在宅で」という風に転換が進んでいます。

「緊急事態宣言がそろそろ出るぞ」と言われていたので、もう準備もしていたのだとは思いますが、私の知っている会社も転換が進んでいます。現に、私の知るある会社の営業職では在宅勤務を原則として、どうしても顧客に会わなければいけない時に、メールで上司に決済を求め、社長決裁で決定されるように変わりました。

我が国の緊急事態宣言には、国民に対する強制力はありません。
4月8日の日本経済新聞に、他国がどうなっているかとの一覧で出ていました。

フランスの場合は、外出申請を自宅からオンラインで行い、証明書をプリントアウトして持ち歩かなければいけません。仮に持ち歩いていなければ135ユーロ(約1万6000円)の罰金です。仮に4度違反した場合は跳ね上がって3750ユーロ(約44万円)もの罰金が科せられます。イタリアは35万、スペインやイギリスなども罰金があります。一方、アメリカやドイツは州ごとに罰則などが異なっています。

日本の場合は、住民や事業者に対してどういう協力を要請するかは、緊急事態宣言の中で指定された区域の都道府県知事の権限です。自粛要請に応じないで出歩いていても住民に罰則や罰金はありません。事業者に対しても、施設の利用制限、要するに営業するか、しないかということになるわけですが、自粛の要請はできる。要請に背いたら指示ができることになっていますが、罰則や罰金があるわけではありません。すなわち強制力はないわけです。

さて、感染拡大の中心地、東京都ですけれども、どういった業種に対して、営業の自粛を求めるかについては、6日の記者会見で示されていました。そして7日、緊急事態宣言の発令がされたあとに行われた小池百合子都知事の記者会見で「さまざまな具体的な内容や近接の県との関連もあって国と調整している」としていました。そして4月8日の医者会見では「若干調整も必要かと思うが、国との連携を取りながら早く決めたい」とトーンダウンしていました。東京都としては6日に考え方をだしているわけですから、国が東京に対してストップをかけたと言うことでしょう。

例えば理髪店や美容室は6日の段階では利用制限に含める方針でしたが、国が「NO!」と言っているようです。

われわれ一人ひとりの感覚ですら、この業種は入れるとか入れないなど、感覚がみんな違うと思います。ただし、ここで法律上抑えておきたいのは、この要請をするのは知事なんです。

こういう言い方をしてはなんですが、国がああだこうだと言ってこれらの決定が遅れるのは私、大問題だと思います。

東京と福岡だって事情が違うじゃないですか。例えば、福岡に行ったら屋台がいっぱいありますけれども、この屋台にどういう要請をするのかしないのか、これ東京と福岡で違っていいわけですよ。

知事が、みんなそれぞれ現場を知ってるとは言いません。踏ん反りかえっているだけの知事もいますけ。しかし、国よりも現場を知っている知事が判断をする。それが、法律にもなっていますので、その判断を尊重して早く決めなきゃ。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。