1.献血が足りない!
日本赤十字社は緊急事態宣言による外出自粛で、輸血用の確保が難しくなっています。
病気の治療に輸血や血液製剤(血液から作るお薬)が必要ですが、
■ 血液は人工的につくれない
■ 長期保存ができない
■ 1回の献血で1人 200ml 又は 400ml
なので、献血する人が少なくなると、すぐに必要な医療を受けられない人が出てきます。
このため、日本赤十字社は献血を呼びかけています。理由は長くなるので書きませんが、日本赤十字は日本で唯一の献血をやってる会社なんです。
大切なことなのでメディアでも報道し献血を呼びかけてくれています。
子どもの手術の輸血に支障のおそれ 緊急献血会で協力呼びかけ(NHKニュース)
「献血は“外出自粛”対象ではない」輸血用血液の確保難しく…(カンテレNEWS)
2.緊急の献血実施!
東京の世田谷区にある国立成育医療センターでも、
昨日、4/10(金)12時から緊急で献血を実施しました。
献血に来て下さいツイート!
僕も、行こうと思っておりました。
電車に乗らなくても行けるし。
3.善意が集まった結果大混乱
そろそろ行こうかと思った昼過ぎのツイート・・・。
予想を超える大人数の方が献血に来られたようで、献血バスのキャパを超えてしまったそうです。
僕は、ツイッターを見て行くのをやめましたが、ツイッターで知った人ばかりではないのでしょう。
結局、献血に来た人が大勢いて、長時間待った上で献血を断られるという事態が起ってしまい、国際成育医療センターはお詫びをしています。
■ 献血を呼びかけた日本赤十字
■ 大切なことだと放送した報道機関
■ 緊急献血会を実施した国立成育医療センター
■ 善意で献血に来られた多くの方。
みんな、素晴らしいと思います。
でも、実際には国立成育医療センターにも大混乱が起ったようですし、何より献血に来られた善意の方がとても残念な思いですよね。
なぜ、こんなことが起るかというと、
今の状況で最適なやり方を一から考えずに、 今までと同じ方法をとるからです。
あらゆる分野で平時から日本が抱える大問題だと、僕は思っていますが、緊急事態下で、これがあらゆるところで浮き彫りになっています。
献血を受け入れられなくなった成育医療センターは、上のツイートで常設の献血場所を案内しています。
東京だと、新宿、池袋、渋谷など繁華街ばかりです。
人の移動を8割減らそうとしている中、わざわざ献血のために都心に人の移動を誘導するのは、好ましくないでしょう。
これも、いつもの場所を案内するだけで思考停止です。混乱の中でそうするしかなかったのでしょう。
4.今後どうしたらよいか
今回のことは残念でしたが、僕は多くの方が国立成育医療センターに献血に駆けつけて下さったことがとても嬉しかったです。
多くの方が、こういう状況の中で自分が何ができるかというのを考えてくれているんだなということがよく分かりました。
献血はこれからも必要です。
国立成育医療センターも、今月下旬にもう一度献血会をやると上のFacebookのお詫びで発表しています。
でも、同じやり方をしたら、また同じ混乱が起ります。
事前登録制にして、受け入れキャパシティに収まるようにする?
いやいや、献血に行く人もめんどくさいし、国際成育医療センターの人の仕事も増えてしまうし、問合せの電話に「ごめんなさい。締め切りました」といちいち答えないといけないですね。
僕も、住民の方の善意を無駄にせず、国立成育医療センターの方も混乱せずできるやり方を考えてみました。
こんな感じならどうかなと思いますが、いかがでしょうか?
① 公園に献血バスを出してはどうか
国際成育医療センターのすぐ近くに、都立砧公園という大きな公園があります。
砧公園のHPを見ると、不要不急の公園利用は避けて下さいと書いてありますが、献血は不要不急の外出自粛対象ではないということですね。
世田谷区の公園利用のお知らせを見ると、一部施設を除き通常通り開園しています。
新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う公園利用についてのお願い【4月10日21時更新】|世田谷区ホームページ
文科省も、かぜのような症状がなければ「屋外での運動を妨げない」としています。なるべく人と距離をとって、遊んだら手洗いですね。
かぜのような症状なければ「屋外での運動を妨げない」文科省(NHKニュース)
環境省も国立公園のキャンプ場でテレワークをできるような取り組みを進めています。
国立公園でテレワークを 環境省、新型コロナの対策(朝日新聞デジタル)
献血でなくても、公園を利用すること自体は問題ないですね。
多少、公園の
② 案内をどうするか
こんな感じでどうでしょうか?
■ 4月○日、都立砧公園に献血バスを出します。
■ 80人分の献血をしていただいた時点で、献血会は終了させていただきます。ご希望の方、全員の献血をお受けできないかもしれませんが、ご了承下さい。
■ 公園利用に当たっては、閉鎖施設を使わない、人との距離をなるべくとる、遊んだ後は手洗いなど予防をしっかりしてください。
これなら、事前登録も不要ですし、献血だけのために出かけて断られると善意の住民の方も悲しいでしょうけど、「公園でリフレッシュするついでに、できたら献血しよう」くらいだったら、結果的に献血できなくても楽しい時間を過ごしたということで、がっかりしないのではないでしょうか。
場合によっては、砧公園に、今でも普段それなりに利用者がいるのであれば、案内自体を最小限にして(しなくてもよいかもしれません)、献血をきっかけに過度に人を集めてしまうリスクをさけるのも一考かもしれません。
5.一から考える思考実験
皆さんは、どうお考えでしょうか?
こういう、今の状況で最適なやり方というのを、一からみんなで。考えていきたいです。
僕は、政策を組み立てる専門家ではありますが、あらゆることに詳しいわけではありません。
きっと、色んな方の知恵が集まれば、新型コロナ感染症の拡大を防ぎながらも、課題を解決するよりよい方法が見つかるのではないかと思います。
このNoteを、そういう思考実験の場としても活用してみたいと思います。
編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2020年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。