新型コロナ禍:WHOテドロス事務局長の更迭を求めるとき

高橋 富人

デマに気を付けるような言説が、多くみられるようになりました。

昨今では、なぜかトイレットペーパーがなくなる、というデマで国民が右往左往したことが記憶に新しいところです。先日は、医療関係者である友人から「大きく息を吸い込んで10秒咳をせず我慢できれば新型コロナに感染している可能性は薄い」とする連絡が入ったので、当該情報をネットで検索したところ、誤情報であることが確認されました。

「深く息を吸い10秒我慢できれば…感染可能性低い」愛知県警が誤情報を投稿(読売新聞)

最初にデマを発信するのは、もっぱら市井の方であり、うっぷん晴らしがその目的であると思われがちです。

しかし、WHOのテドロス事務局長は1月末から2月初旬にかけて、当時新型コロナウイルスが蔓延していた中国におもねるように、世界に向けて「中国の渡航制限措置は必要ない」と明言していました。それがデマではなく「正しい情報」であるならば、いま世界中に起きている都市封鎖や国境封鎖をどうとらえているのか、テドロス氏に聞いてみたいところです。

WHOのテドロス事務局長(UN Geneva/flickr:編集部)

さらに、こともあろうにテドロス氏は、根拠も示さずに「台湾から人種的な中傷を受けた」と、台湾を批判する主張をしはじめました。これを受けて台湾の蔡英文総統は、本件に反論しつつ「テドロス事務局長にはぜひ台湾に来てもらい、差別を受けながらも国際社会に貢献しようと取り組む姿を見てほしい」などと答えたとの報道があります。

WHO事務局長「台湾から人種的な中傷」に台湾が反論(NHKニュース)

他方テドロス氏は、トランプ大統領から新型コロナウイルスへの対応が中国寄りだと批判を受けると、「ウイルスを政治化しないでほしい」と訴えたそうです。

もう、無茶苦茶です。

テドロス氏は、WHOの事務局長という立場を使い、いったい何をしたいのでしょうか。

WHO事務局長として中国にどう対応したのか

新型コロナウイルスの「完全制圧」は疫学的にあり得ないというのがすでに世界のコンセンサスとなっていますが、中国安徽省南部の観光地では、省内住民を対象とした観光スポット無料化施策をうって、まさにすし詰め状態の人込みを作り出しています。

「観光地タダ」――新型コロナの“ストレス解消”とばかり住民殺到(西岡省二|Yahoo!ニュース個人)

中国当局が無料開放したことにより観光客が殺到した安徽省の黄山(4月6日のANNニュースより:編集部)

また、武漢の封鎖解除のニュースでは、段階的に実施されなかったからなのか、「鐘や太鼓を打ち鳴らし」た群衆が町中に溢れかえっている映像を観ました。これには、世界中の人々が悪夢再来の恐怖を感じたはずです。

世界では、現在ワクチンや薬の開発を急ぎつつ、極力「中国由来のウイルス」の蔓延を遅らせようと最大限の努力をしています。

このような時期に、中国が実施した「世界に対する大迷惑行為」に対して、テドロス氏はWHOの事務局長としてどんなリーダーシップをとったでしょうか。

また、新型コロナウイルスの宿主はコウモリやセンザンコウの可能性が高いと言われています。それら野生動物を食用として販売していた武漢の市場が、当該ウイルスの発生源である、とする見方が多くの専門家の支持するところとなっています。

それを受けて中国では、野生動物を食べる習慣の根絶をめざし、独自で対策を打ち出したようです。

しかし、前回のSARSのときも、時が過ぎれば野生動物の食用販売を解禁措置した中国を、世界は信用していません。

SARS研究報告:中国政府の食用動物販売の解禁は時期尚早?(WIRED)

他国の食文化に対して意見をすることは極力控えるべきであることは確かですが、SARS、新型コロナウイルスと二度の蔓延に深い関係があるとみなされている「中国の野生動物の食」は、世界の衛生を守る意味で止めていただくべきものでしょう。

こういった世界的な保健をバランスするリーダーシップをとるべき機関がWHOであるはずですが、テドロス氏は事務局長として何をしたでしょうか。

この時期、分断をあおるような言説を公開したくはありませんが、テドロス氏はWHOの事務局長としては不適格です。

産経新聞が言うように、日本はテドロス事務局長の更迭を含むWHOの改革に声を上げるべきときであると考えます。

【主張】WHOテドロス氏 事務局長の任に堪えない(産経新聞)