自衛隊は新小銃の調達数を減らして、P90かMP7を導入すべきでは?

豊和工業製の新型小銃が自衛隊に採用されましたが、お値段は89式並の30万円、しかも光学照準器などのアクセサリー類もなし、調達もこれまた89式と同じ30年はかける予定です。これに装着する40ミリグレネードランチャーの調達も未だ不明です。

陸自が発表した新小銃「HOWA 5.56」

完全に当事者能力と意識が欠如しています。30年も2~3種類の小銃と弾薬が混在します。その間の兵站と教育も並列ですから余計にコストがかかります。

こんな間抜けなことをやっているのは世界広しといえども我が国ぐらいのものでしょう。アフリカとかの最貧国は知りませんけどね。

ドイツ陸軍が採用している「MP7 A1」(Wikipedia)

そこで提案ですが、FN社のP-90やH&K社のMP7といった軽量小型でかつ扱い安い小火器を一定数導入したらどうでしょう。P90は実際に撃ったことがありますが、反動が小さく、100メートル距離で素人が撃ってもバカスカあたります。比較で撃ったMP5よりもよく当たります。

P90は 5.7 x 28mm弾を使用、MP7は4.6 x 30mm弾を使用します。両者ともにボディアーマーを装着した相手に対するストッピングパワーは十分にあります。

例えば基地警備、車輌搭乗員、航空機搭乗員、艦艇、将校、対戦車火器などの担当者の自衛用、後方要員などは寧ろ新小銃よりも有用でしょう。すでに特殊部隊ではMP7は導入されているようですし、P90も調査はしているはずです。評価に関しては彼らの知見が活用できるでしょう。また市街地での近接戦闘でも有用ですから,
普通科部隊に一定数配備してもいいでしょう。

お値段からいえば等倍光学照準器付きでも新型小銃より随分安いはずです。半額はしないはずです。おそらくは3分の1程度でしょう。新小銃の半分をこれらに置き換えれば、新小銃の調達期間は10年ほどに短縮できるでしょう。また調達予算も劇的に削減できます。

極論いえば普通科のライフルマン以外は全部、これらに換えてもいいでしょう。

メリットは他にもあります。P90にしろMP7にしろ、弾薬は輸入となるでしょう。そうであれば、バカ高い国産の5.56ミリ弾を使用しなくて済むので、運用コストも大幅に下がるはずです。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

防衛記者クラブの「台所事情」何とも厳しい実態  不要不急の支出、財政破綻の危機を迎えていた


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年4月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。