どうした自民党?:一律10万円給付

これは新型肺炎に端を発した政治崩壊と言われかねません。減収世帯への30万円給付が一転して10万円給付の方向となりました。このところ、どうしちゃったのでしょう、と本当につぶやいてしまいました。

(4月16日 第29回新型コロナウイルス感染症対策本部、首相官邸HPから:編集部)

(4月16日 第29回新型コロナウイルス感染症対策本部、首相官邸HPから:編集部)

30万円給付方針が発表された際、4月4日付のブログで「私は30万円の現金給付も含め、本当にそのやり方が正しいのかわかりません。実際に月収が減額した人はどうやってわかるのでしょうか?自営業者はどう判断するのでしょうか?いつもそうなのですが、日本はボトムアップ型の援助が主体なのですが、案外収入の中間層が一番苦しかったりするものです。今回の新型肺炎はほぼ全収入層への影響であるはずなのにどうしても消費税の減額はしない気でしょうか?」と書かせて頂きました。

カナダでも様々な経済対策が行われています。連邦レベル、州レベル、市のレベル、半官半民やインフラ関連企業のレベルなどそれぞれが様々な支援プログラムを発表するので一つひとつをみればなるほどと思えるものでもごった煮状態で市民レベルだとさっぱり理解度が進まなくなります。そこで昨日、オンラインセミナーをやるので「お前がしゃべろ」という指示があり、パワーポイントを使って説明させて頂きましたが、やっていて思ったのは「皆が求めるのはシンプルでわかりやすいこと」に限るという点でしょうか?

例えば当地で発表された中小企業の支援対策といっても中小企業の定義が対策ごとに違うのです。しかもそれを調べるのは会計士に聞かないとわからないような仕組みも中にはあります。おかしいでしょう。

日本の話に戻します。東京都が休業支援で50万円(2店舗以上なら100万円)を支給すると発表しました。私の事業の一部も対象なのでガイドラインの説明書を見ていたのですが、飲食店は時短営業でもOKなのに他は休業することが前提になるなど決め方があいまいです。休業しているかどうかを確認する書類は帳簿やポスターなどというのですが、帳簿の何をみたいのでしょうか?ポスターでどうやって証明するのでしょうか?結局50万円あげるから休業してね、ということかと思います。

では自民党。細かい話は抜きにしますが、今回の印象を一言で申し上げるとかつて民主党に政権を取られる頃に戻ってしまいそうな弱体感すらあるのです。勿論、今、野党にまともなところはありません。が、今回、公明党に押し切られたそのふがいなさ、そしてそのトリガーが二階幹事長の発言だったという点です。とすれば二階さんは岸田政調会長を潰す気なのでしょうか?

NY州のクオモ知事が「アメリカにはKINGはいない」と発言していましたが、「自民党には二階がいる」ということになります。

政権の動きも遅いです。「10万円の支給は5月下旬から6月に届くスピード感が大切だ」と公明党の議員が発言していますが、私にすれば???なのです。カナダでは経済支援関係の支払いは申請から3日から1週間程度でバンバン支払いが行われています。日本は政治と官僚と役所の仕組みが機能しておらず、これだけITや技術大国だといっても実際の作業は50年前から全然変わっていないのであります。(カナダでは個人、法人の銀行口座と税務当局がネットでつながっているので処理が早いのです。)

緊急事態宣言も結局全国に広げました。安倍首相の今回の一連の流れは(海外の衝撃的状況を見て)経済的インパクトを最小限に止めないと日本経済が崩壊する、と考えた節があります。ですが、そのズルズル感が世界の先進国の対策ではもっとも遅延し、周回遅れとなってしまったのです。中途半端だったのです。(それとも中国発西回りで日本が最終地という説明なのでしょうか?それではあまりにもお粗末です。)

一言でいえば「安倍首相も孫正義も柳井正もバトンが繋げない」であります。7年半近く走って最後にとんでもない向かい風の中の上り坂なのにゴールにはタスキを渡す相手がいないということです。今は新型肺炎対策を優先しなくてはいけませんが、崩壊しつつある政治の回復劇も早急なる対策が求められます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年4月17日の記事より転載させていただきました。