昔は世界の国名や地名を漢字で書くことが多かったが、最近ではだいぶ減っている。亜米利加というようにフルネームを書くことはほとんどないし、米国といった略称でも今も使われるのは、G7のうちでも米、英、仏、独はともかく伊とか加とかは減ってきたし、日韓はともかく、日露、日豪、日印などもあまり見なくなっている。
一方、中国語の文献を読むと、欧米などの地名などが何か分かりにくいし、今度は、欧米の報道などでは、中国の地名や人名を日本での読み方とはまったく違う現代中国の発音を、また、独特の表記法で表示するのでますます分からない。さらに、中国語における各国名のローマ字表記も知っておかないと不便なこともある。
日本人も、少し心して、中国風の国名地名の呼び方を漢字もローマ字も知った方がいいと思う。
そこで、『365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」』(清談社)では、そこに徹底的にこだわって情報を提供している。
まず、各国情報の欄については、たとえば、オランダの欄を例に取れば、
①オランダ王国・・・日本外務省が使用している日本語国名
②(英)Netherland・・・英語名
③(仏)Pay-bas・・・・フランス語国名
④(オランダ語)Nederland・・・・現地語国名、
⑤(中)荷兰 荷蘭蘭 Hélán・・・・中国語で順に現代中国語、その日本式漢字、ローマ字表記
⑥(正式名称)コーニンクライク・デル・ネーデルランド・・・現地語による正式国名
それでは、G20加盟国の中国語名を日本式の漢字に直すとどうなるかというと、以下の通りだ。
美国・阿根廷・意大利・印度・印度尼西亜・澳大利亜・加拿大・英国・韓国・沙特阿拉伯・中国・徳国・土耳其・日本国・巴西・法国・南非共和国・墨西哥・俄羅斯なのだが、読者はいくつどこの国か分かられたであろうか?
これを中国の簡体字で書くとどうなるか、中国式のローマ字で書くとどうなるかは、表を画像でお見せするので、ご覧いただきたい。
一方、このごろ、使われることが少なくなった日本における伝統的な漢字名、たとえばアメリカを中国での美国でなく米国とするなどしたものは、公式のものでなく、新しい国については存在しないが、以下に、参考までに、主な国名・地域名・都市名などを列挙しておく。
愛蘭土(アイルランド)、亜細亜(アジア)、雅典(アテネ)、阿弗利加(アフリカ)、亜米利加(アメリカ、米国)、亜剌比亜(アラビア)、英吉利(イギリス)、伊太利(イタリア)、濠太剌利(オーストラリア、豪国)、墺太利(オーストリア)、和蘭(オランダ、蘭国)、加奈陀(カナダ)、聖彼得堡(サンクトペテルブルクグ)、桑港(サンフランシスコ)、西比利亜(シベリア)、寿府(ジュネーブ)、瑞西(スイス)、瑞典(スウェーデン)、西班牙(スペイン)、泰(タイ)、丁抹(デンマーク)、独逸(ドイツ)、土耳古(トルコ)、紐育(ニューヨーク)、布哇(ハワイ)、洪牙利(ハンガリー)、巴里(パリ)、緬甸(ビルマ)、普魯西(プロシア)、白耳義(ベルギー)、波蘭(ポーランド)、葡萄牙(ポルトガル)、墨西哥(メキシコ)、莫斯科(モスクワ)、羅馬(ローマ)、羅府(ロサンジェルス)露西亜(ロシア)、倫敦(ロンドン)、華府(ワシントン)、