メディアは騒ぐだけなのか
新型コロナ危機の重大な焦点は、「欧米に比べ異常に少ない日本の死者、感染者は今後、欧米並みに急増するのかどうか」「ウイルスは何者で、正体をあばけるのかどうか」でしょう。日本の新聞、テレビはネットにアップされる情報、解説、主張に完敗しています。
日本のメディアは、新聞記事もテレビのワイドショーも、感染者数の増加、外出自粛の街頭風景、医療崩壊に近づく病院の混乱、休校・休業に伴う社会不安などを取り上げています。表面的な動きばかりを追い、しかもそれが朝から晩までで、思考能力を失っているとしかいいようがない。
フランス在住が長かった友人が「ノーベル賞受賞の仏科学者モンタニエ氏が研究報告を発表し、注目を浴びている」と、ネットで報告しました。同氏は当時、パスツール研究所におり、83年にエイズウイルスを発見し、08年にノーベル賞を同僚と受賞した人物です。
著名な科学者が新型コロナについても重大な発見をし、ネットでその研究内容にアクセスでき、日本人の解説も読めます。正しければ「中国発のウイルス」説も立証される大研究です。
要点を書きます。「中国武漢のウイルス研究所で人工的に作られたウイルスが事故で外部に漏れた」「新型コロナの中にエイズウイルスが含まれている。これは自然に存在するはずがないものだ」「このHIV(エイズ)の配列をゲノム(遺伝情報)を挿入するには、複数の分子ツールが必要であり、研究室においてのみ行える」「生物兵器の開発ではなく、ワクチン開発が目的だったらしい」
1月でしたか、インドの科学者が新型コロナを解明したというニュースが流れました。それについて、モンタニエ氏は「自分たちより先にこの研究発表があった。強い圧力がかかり、論文はネットから削除されている。でも私は真実を明らかにする」と説明しています。
さらに「人工的に変更されたゲノム配列は排除することができる。その結果、パンデミックを収束させられる」そうです。つまりいずれコロナは消え去るので悲観することはない、ということでしょうか。また「中国が真実を認めることを希望する」とも。トランプ米大統領が中国批判を強める背景には、こうした研究報告があるのかもしれません。
ネット上で読める重要な仮説が他にもあります。「日本の感染者、死者が少ないのはBCG(結核予防接種)を義務付けてきたためだろう」との指摘に、しばしばお目にかかるようになりました。BCGには結核予防以外の効果(オフターゲット効果)があり、新型コロナに効くというのです。
東北大の大隅教授が雑誌に寄稿したのをネットで読めます。「死者が多いのは米国53万人、スペイン16万人、イタリア15万人(4月12日現在)。人口100万人に対する死者数はスペイン338人、イタリア311人、フランス202人、米国56人で、日本は0.69人と異常に低い。欧州諸国の多くはBCG接種プログラムはなかったためだろう」。新聞を読んでいると、このような相関関係に気がつかない。
BCG仮説によれば、「死者の多い米国、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ(西独)などは接種をやったことがないか、今はしていない。日中韓などのアジア諸国、アフリカ、ロシアは接種をしているので、感染者・死者が少ない」となります。なるほど。
言論プラットフォーム・アゴラの代表、池田信夫氏はネット論壇で、こうした見方を早くから唱えてきました。「日本人はBCG接種のおかげで、新型コロナに欧米諸国のような多数の死者が出るはずはない」と予想し、過剰反応や、行き過ぎた自粛は慎むべきだと提言してきました。
「マスコミが大衆の不安を煽り、ワイドショーがPCR検査を増やせと、主張するものだから、症状のない人まで検査を受けようと病院に殺到する」と、批判しています。「インフルエンザによる死者は昨年は3000人、大流行の98年は3.7万人。新型コロナで大騒ぎするな。非常事態宣言して過剰な自粛をして、経済を冷え込ませるな」とまで、いいきっています。
一方、日本では大量感染は起きないとする「日本例外論」には、強い反対論も聞かれます。ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏は「日本だけ特別に広がらない理由はあるだろうか。楽観的過ぎる」「感染拡大の最初の山を越えたらほとんどの人は安心してしまう。有効なワクチンや治療薬が開発されるか、集団免疫ができるまで対策を続けなければならない」(日経4/20)と、警告します。
新聞やテレビは感染者のグラフを毎日更新し、大混乱する病院の現状を反映し、報道姿勢は深刻度を増しています。私がいいたいのは、新型コロナ増は人工的な操作で作り出されたとする研究、BCGの意外な効果に着目する仮説などを、もっと記事にしたらどうかということです。
新聞の紙面に限りがあるのなら、ネット上にサイトを作り、そこでこうした考え方を紹介し、解説を加えたらどうでしょうか。ネット情報・論壇は玉石混交です。ネットに比べれば、信頼性がある新聞の出番になるはずだと思います。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2020年4月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。