4月3日、小泉進次郎環境大臣に、環境省大臣室で直接、花粉症対策についての提言をしました。先日のブログでも述べましたが、私が「政府横断的な取り組みがされていない現状を踏まえ、今後は環境省が主導し、各省庁の取り組みを加速化すべきだ」と主張していたところ、小泉大臣から私に、直接面会の申し込みがありました。
私から小泉大臣に提言したことは、以下の2点です。
①曝露対策の必要性
②環境省が主体となった取り組みの推進
この提案に対して、小泉大臣からは「まずは省内で、山田先生の提案について、しっかり勉強していく。そして本年度から、花粉症対策担当省庁連絡会議の事務局担当が環境省になった。このチャンスを生かし、連絡会議の充実と、環境省として何ができるのかをしっかりと検討していく」という力強い約束をもらいました。
また、「山田先生は、国会のなかでも花粉症について一番詳しい。花粉症対策について熱心に取り組む、おそらく唯一の国会議員だ。花粉症を政治の力で解決するために、省内で固まり次第、また相談させて欲しい。」という言葉ももらいました。
各省庁の課題としてあげられる、「花粉症の有病者数と実態調査を国として早急にすべきであること(厚労省)」、「花粉症緩和米は食品として実用化に向けた調整が必要なこと(農水省・厚労省)」、「花粉症治療研究予算の増額が必要なこと(厚労省)」についても、現状を具体的に伝えました。国としての総合的な対策が加速化するよう、環境省とは引き続き意見交換をしていきます。
今後は自民党内で花粉症対策のプロジェクトチームを立ち上げ、政府に花粉対策を進めるよう強く求めていこうと思っています。
そして、私が小泉大臣に提案した曝露対策の必要性についても、詳しく説明しておきます。そもそも、「曝露(ばくろ)」という言葉を聞いたことがない方もいると思います。疫学では「問題となる因子に、それぞれの個人がさらされ取り込むこと」を総称して曝露と呼びます。問題となる因子とは、環境汚染物質や病原微生物(細菌・ウイルス)、薬物、化学物質,物理的要因などが含まれます。今回の、新型コロナウイルス感染症対策では、『曝露を防ぐことが重要』という疫学専門家の指摘が、メディアでも多く報道されています。
花粉症も、花粉というアレルギーの因子にさらされることで起こす、アレルギー症状の一種なので、曝露という言葉が使われます。私たちは、花粉という因子に曝露しなければ、感作(繰り返される刺激によって、それに対しての反応が徐々に増大していく学習プロセス)はされず花粉症は発症しないのです。
つまり、
・曝露を防ぐことで、現在発症している人の症状を、医薬品を使わずに軽減させることができる。(即効性が期待されていた花粉症ワクチンの研究は終了している。)
・幼少期から曝露を防ぐことで、子どもが花粉症を発症しなくなる。
という効果が期待できます。発生源(林業分野)対策は50年から100年単位の時間が必要で、現在花粉症で苦しむ人をすぐに救うことができないことからも、曝露対策は極めて必要であると思います。
このような理由がありながら、現在、花粉の曝露対策に取り組む府省庁は存在しません。衛生用品(マスク等)は厚労省、花粉症対策製品(家電など)は経産省、住環境は国交省の所管であり、環境省は大気汚染や公害でなければ対策はできない。という行政の縦割りの弊害があるからです。そこをなんとか乗り越えて、環境省が曝露対策に取り組んでほしい。と強く訴えました。
そして、小泉大臣には、私が官民合わせて20回以上おこなったヒアリングの中でも、特に重要な曝露研究の最新情報についても共有しました。
具体的には、以下のような曝露対策を行ってほしいと伝えています。
・花粉症を発症させない生活(マスク、眼鏡、衣服、換気をしない、うがい洗顔等)の曝露対策の啓発。
・花粉を無力化する化学的アプローチ研究の促進。
・民間企業の曝露対策製品(空気清浄機、漆喰塗料、化粧品等)の促進と民間企業の知見収集。
花粉症対策はイデオロギーの問題ではありません。現在も症状に苦しむ国民のため、そして、まだ花粉症を発症していない子どもたちや、これから生まれてくる未来の世代のためにも、今政治の力で解決すべき問題です。引き続き、尽力していきます。
次回のブログでは、農水省、林野庁の発生源対策の視察について報告します。
編集部より:この記事は参議院議員、山田太郎氏(自由民主党、全国比例)の公式ブログ 2020年4月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は参議院議員 山田太郎オフィシャルサイトをご覧ください。