今、〇〇と〇〇が必要

緊急事態宣言が全国に出ている中、新型コロナウイルスの感染拡大の原因となる、あるいは、いわば不要不急というような施設に対して、23都道府県が休業の要請を出しています。

休業要請と支援策を決めた自治体(18都道府県)
北海道・山形県・福島県・茨城県・栃木県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・石川県・愛知県・岐阜県・三重県・京都府・大阪府・兵庫県・福岡県・佐賀県

休業要請を決めたが、支援策が未定の自治体(5県)
群馬県・山梨県・広島県・山口県・沖縄県
※4月21日現在

この休業要請は各都道府県知事が要請をするのですが、一番最初に要請したの小池百合子東京都知事でした。接客を伴う、いわゆる夜の飲み屋さんに休業を求めたり、飲食店でのお酒の提供や営業時間の目安を示したりしました。また、休業や自粛要請をする以上はということで、その要請に応じた店舗などには家賃などに充ててもらうために50万円(複数店舗の場合は100万円)を上限として、協力金を出す仕組みを打ち出しました。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)では、接待飲食等営業(スナック・ナイトクラブ ・ダンスホール)や遊技場(麻雀店・パチンコ店・ゲームセンター)、性風俗関連特殊営業(ソープランド・ファッションヘルス・アダルトショップ・個室ビデオ店)などの営業を規制するなどの法律の中にある業種に、行政が税金を使って補助金・助成金を出すことはこれまで聞いたことがありません。横浜市長時代でもそういったことはありませんでした。ですから、小池都知事がこれを指示したときには、さすがの東京都庁でも、融資(お金を貸す)であれば有り得るが、助成金や補助金という形で給付することはこれまでに前例がないことからかなり抵抗があったようです。

役人は法律と前例を大切ににします。それ自体は役人のあり方として決して否定しません。しかし、平常時はそれでいいのですが、非常時も同じように考えてしまってはいけません。もちろん、政治が法律を犯すことはできません。そこで、前例にとらわれない方法を考えることこそが政治の役割です。ましてや非常時ですから。

福岡市の高島宗一郎市長の対応も早かったと思います。福岡県が休業を要請を出した時、要請に事業者が応じた場合、店舗の賃料の8割(上限50万円)まで補助することを打ち出しました。その行動の速さに私もツイッターで、「これは立派!立派の意味は①決断早い②ピンポイント③限界超え。根本的には福岡県の自粛要請に市が対応した。首都圏の知事や政令市の市長、何やってんの?」とツイートしました。

通常は県が出した要請に対して県が補助しますので、県の要請に対して市がやることに市役所の中で相当反発があったと思います。高島市長はオフィシャルブログの中で「福岡市が独自に経済支援を実施すれば福岡県の負担は、福岡市以外を対象とする事で軽くなりますから、福岡県には福岡市以外の市町村でも同じような経済支援が行える様に財政支援をお願いしたいと思います。
」と書かれており、福岡市内の事業者を守りつつ、全県的に考えてるっていうことは本当に立派だと思います。また、高島市長は、「想定もしたくないですが、仮に緊急事態宣言が延長されても同じ規模で支援し続けることは出来ません。だからこそこの一ヶ月の短期集中で、みんなで福岡県からの休業要請、時短要請に協力をしましょう!」とも書いて、「とにかく今、行動してもらうために、行政として何ができるか」ということを呼びかけています。
東京都や福岡市が打ち出した仕組みは、今は全国で3抗争あるけれどもいろんな形で広がっています。またこれ実は国を方針転換に繋がりました。

7日の緊急経済対策の中に地方自治体への臨時交付金を盛り込んでいました、しかし、臨時交付金はこうした協力金に使用できませんので、国は使用を許可しませんでした。ところが、西村大臣が「協力金などいろんな形で支援がなされようとしている。知事会からも強い要望があり、受け入れる中で決定した」と国が一転して方針転換しました。

私ね自分が政治の一線でやってるときから言ってきたんですけれども、政治に必要なのは、仕組みとメッセージの両方だと思います。仕組みがない状態でやりなさいと言われても人はなかなか動かないと思います。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。