孤立無援ゆえに迷走するコロナ対策班を皆で救おう!

これは連続記事の三回目です。一回目はこちら。二回目はこちら。

ここまで、日本において、新型コロナ対策専門家会議のような団体は孤立無援になりやすく、結果として自分たちだけですべてを解決しようとして迷走しがちであることを述べました。

THE PAGE公式YouTubeより:編集部

そういうとき、私たちはどうやってサポートし、彼らの力を引き出し、3月上旬ぐらいまでの「神業」的な力を発揮してもらえばいいのでしょうか?

4.日本において「組織の縦割り」を超えた連携が必要な時には「あたらしい意識高い系」のモードで対処するべき

「あたらしい意識高い系」については、やたらいっぱい写真撮られた私のインタビュー記事が最近公開されたんですが、そこでした話が非常にイメージしやすいので以下のスライドで紹介すると・・・

私のクライアントのマニア向け小売店で、スタンプカードをアプリにするって話があったんですが、今どきスタンプカード?って思う人は使わなきゃいいだけな一方で、スタンプカード集めてる(通販の時はシール同封してるんでそれを綺麗に貼ってる)人って凄い大事な顧客なんで、そういう人がアプリ化で離れてしまうんじゃないかっていうのは「正当な懸念」ですよね。

そういう時に「いまだにスタンプカードとか昭和かよ!」とか言っててもダメで、ちゃんと溜まってるスタンプとアプリのポイントの交換比率を考えるとか、それを発表する時にハートフルに顧客との関係が深まるようなメッセージを考えるとか、そういうことをやれば誰も反対しないし、スルスルと進むわけですよね。

つまり、日本においてちゃんと「現場」と「理屈」が適切な形で協業していくには、

「医療現場の人がPCR検査の安易な拡大に慎重になる理由」まで深堀りして、その解決策の方向性のコンセンサスを作っていくところまで、「現場以外」がやらないといけない

わけです。

「現場が反対する理由」がわかれば、ただそれを解きほぐしていけばいい。たとえば・・・

  • 保健所のキャパが問題なら、保健所とは別の検査センターを用意すればいいですね?
  • 医療機関に集まること自体が感染拡大のリスクなら、ドライブスルー方式や訪問型の移動検診ならどうでしょう?
  • 検体を集めることは効率化できても「検査」自体はどうしてもキャパが限られるというのなら、そのことをちゃんと世の中に伝えて協力を要請するメッセージを発するべきでは?
  • 「安心」自体が目的なら、PCR検査よりも、そもそも電話相談の時にちゃんと心理的な「安心」を与えるようなフォローをして、「無意味に放り出された」と感じさせない配慮を作り込むことが大事なのでは?(この部分かなり重要だと思っています)
  • 保健所の人が今やっている作業のうち、こういう部分は外注したり、専門家でなくてもサポートできるはずでは???


このように、議論をちゃんと交通整理するところまで「外野」がやれば、「医療現場の最前線で戦っている人」をサポートできる。現場の人も安心して検査拡大に同意できる。それが「あたらしい意識高い系」の考え方なんですね。

特に、今ときどきネットで話題になる感染者の体験談の、

  • 「症状が出たかも知れない時に電話しても全然つながらない」
  • 「あっちこっちたらいまわしにされて物凄く不安になった」

とか、そういうレベルの「不安」を医療関係者は結構軽視しがちなんですが(明らかに彼らの責任範囲ではないとはいえ)、そのあたりの細部でちゃんと「不安自体をケア」することができれば、この幸薄い論争も随分落ち着いてくるのではないかと思います。

次章では、ここまでの話を踏まえて、「経済再開」に向けて「外野」の私たちはどういう議論を深めていくべきなのか・・・について書きます。

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倉本圭造 経済思想家・経営コンサルタント
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