WHO(世界保健機関)トップのテドロス事務局長が「世界はWHOの忠告に耳を貸さなかった」と各国のコロナ対策に“遺憾の意”を示したが、WHO自身の後手に回った過去の対応をネット上で掘り返され、批判の声が噴出している。
テドロス氏は27日、スイスのジュネーブでネットを通じた記者会見を開催。1月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した際に、「世界はあの時、WHOに注意深く耳を貸すべきだった」として“遺憾の意”を表明した。
同氏はWHOに耳を貸すことの重要性について、
「皆さんも自分で確認してみるといい。これに従った国の状況は他の国より良い。これは事実だ。(WHOの忠告を)拒否するか受け入れるかはその国次第だ。各国それぞれに責任がある」
と述べている(参照:AFP通信)。
しかしこれまでのWHOのコロナウイルス対応を振り返ってみると、1月14日には公式ツイッターで「中国当局による予備調査の結果、中国武漢で確認された新型コロナウイルスのヒトからヒトへの感染を示す明確な証拠は見つかっていない」と発信し、
23日には「緊急事態にはあたらない」と発表(参照:NHK)。また2月3日にはテドロス氏が「渡航を不用意に妨げる必要ない」として、中国から渡航する人の入国を禁止する国々に懸念を示し(参照:NHK)、27日には「予防目的でマスクを着用する必要はない」との見解を発表していた(参照:毎日新聞)。
こうした経緯もさんざん掘り返されてきており、ネット上には、
1月23日の会合で緊急事態宣言を見送り被害を拡大させたのはどこの誰ですかねえ
WHOは世界の声に耳を貸すべきだ。
テドロス解任署名、どれだけ集まってるか知らないわけじゃないよね。人から人への感染の可能性は小さい
マスクは不要
入国拒否など人の動きを止める必要はないWHOに耳を貸した結果が今のパンデミックです。
などとテドロス氏とWHOへの批判の声が殺到した。
また新型コロナへのWHOの初期対応をめぐっては、4月10日に米国国務省が「台湾から早期に受けた通知を国際社会に示さなかった。公衆衛生より政治を優先した」とWHOを批判し、11日に台湾当局が「中国でヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きている」とWHOに昨年末送った通知の全文を公表している(参照:NHK)。
したがってツイッター上には、人事コンサルタントの城繁幸氏のように、「きみらが台湾に耳貸せや」という趣旨のツッコミであふれていた。
「きみらが台湾に耳貸せや」と朝一で思った人は少なくないだろう。 → WHO 世界は耳貸すべきだった#Yahooニュースhttps://t.co/jEMgje2twK
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) April 27, 2020
この一連の動きが後押しになるかはわからないが、26日には米仏首脳がWHO改革で合意し(参照:時事通信)、また27日夜には米厚生長官が台湾保健相に対し、台湾のWHOへの完全な形での参加を支持する姿勢を示している(参照:フォーカス台湾)。
なお、もはや炎上芸が定着している感のあるテドロス氏だが、28日には新型コロナは「終息には程遠い」とも発言しており、アゴラ研究所所長の池田信夫や作家の猫組長氏は「テドロスがそう言うんだから、終息は近いのかも」と予想していた。
テドロスがいうんだから、終わるんじゃないの。 https://t.co/NQvz8FOwxW
— 池田信夫 (@ikedanob) April 28, 2020
テドロスがそう言うなら終息は近いのかも知れんな。 https://t.co/uqnlGJ6PLi
— 猫組長 (@nekokumicho) April 28, 2020