東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少・コロナ対策チーム)です。
普通の朝が激しい一日に変わった
さて、昨日は羽鳥慎一のモーニングショーをめぐって、バタバタした一日でした。
出演者の1人であり、今やファンからもアンチからも大きな注目を集めている玉川徹さんの発言がきっかけでした。
この週末の東京都が発表した感染者数が低くなっていたわけですが、27日月曜に発表された日曜日分は39件でした。この数字をして、玉川氏は下記のようにコメントをしたのです。
この39件というのは全部民間なんですって。
民間よりも、通常は平日で言えば、行政検査の方が多いんですよ。行政検査が土日休みになっちゃって、結果として、民間で検査をしたものの中から、感染者が39例ということなんですね
そうなると、これ昨日も言ったんですけど、ゴールデンウィークはどうなるんだろうと。
ゴールデンウィーク、たぶん休みますよ。行政は。検査するところもね。そうすると民間だけでいく。
民間がまだそんなに増えていないという段階だと、これこの後、ゴールデンウィークに入っていくと、こういう30とかいう数字がズーッと続いていく可能性がありますよね。この後さらにゴールデンウィークに入っていくと、行政の検査が休むというのが続いていくと、民間の検査だけになるので、この数字がずっと続いていく可能性がある。それで本当に大丈夫なのか?『ずっと下がってますよね。(緊急事態宣言)解除です』という話になったら大変だなと。
しかも、ご丁寧に岡田晴恵氏もスタジオでの受けで、
「全部民間だというのは私も聞き及んではおりますけれども、やっていないかどうかは確証が持てない」と話すと、
玉川氏は、「行政やってないのは確認取れています。うちのスタッフが。」と答えたのです。
羽鳥慎一さんが「この数字が民間の数字だという事が」と言うと
岡田さんが「分かっています」と言い切ったのです。明らかに39件は民間だけの数字であり、土日は行政がやっていないと出演者3人で断言してしまったのです。(羽鳥さんは言いかけで岡田さんが喋りましたが)
直ぐに反応した
私は直感的に、この誤情報は世間が大騒ぎになると思いツイートを入れたのです。
コロナで大変な時に「行政は土日だから休んでいます」「ゴールデンウィークもそうなるでしょう」と言われたら、どう思いますか?
都知事の要請で自粛している時に、行政は「何やってる?」と私なら思います。これだと、抗議の電話も殺到するだろうし、大変になるだろうなと思ったのです。
ちなみに、前段の玉川さんの発言が始まったのが、8時55分頃です。
一連の展開直後に、東京都の福祉保健局に念のために、自分の認識は民間が週末は休みになっているということだったので、事実確認をしました。
そこでツイートしたのが下記のもので9時15分でした。(若干、慌てて文字数整理していたので文章が変なところもありますが)
モーニングショー玉川氏が「土日は民間しかPCR検査を実施していない。」との発言は問題ではないか。岡田氏も同調。この発言の根拠と誰がそんな事を言ったのか明確にしてすべき。
土日は一般的に民間の数が減る。都の健康安全研究センターは動いている。
都職員はこれの苦情対応で時間が取られる。
— 川松真一朗【墨田区選出・都議会議員】 (@kawamatsushin16) April 28, 2020
スクープは打ち消せず
しかし、ちっぽけな私のツイートでは、既に「玉川さんのスクープ」が駆け巡って、中には私のファクトベースのツイートにまで反論が入ってくる状態でした。
実は私はこれまでYouTubeでもモーニングショーを取り上げてきました。が、私は「報道の自由」「言論の自由」はあってしかるべきだというのを基本にして、どちらに肩入れすること無く「事実」を伝えてきました。それ故に、時に「玉川さんを擁護した」と怒られ、時に「玉川さんを攻撃し過ぎだ」と双方から叩かれてきたのです。
それは、私の狙いが「情報は伝え手によって、角度によって見え方が違う」からこそ、誰が伝えているかが大切なんだということをお伝えしたかったからです。今やこの番組の影響力は大きく、特定企業の株主総会にまで波及していたのでありました。
過去の動画でも語ってきたのですが、私はテレビ朝日入社時、最初の新人研修でAD見習いをやっていたのがモーニングショーの前身となるスーパーモーニングという番組でした。ですので、この朝8時のテレ朝の番組には思い入れがあります。
そして、都議会議員となった今、多くの方から経歴に「元テレ朝アナウンサー」はマイナスになるからやめた方がいいと指摘されても、これは外さずにやってきました。私はテレビ朝日アナウンサーとして経験を積んできたからこそ、今があると思っています。もし、この肩書を外すならば、今の私自身を自分が否定することになると考えているからです。
今回のような、番組内でのもっともらしい言説は多くの人を刺激します。これで、抗議の電話が殺到すると、ただでさえ人員不足の都庁現場が大変になるなと危惧しました。全国放送の威力は凄く、ご意見は当然に都外からも沢山届くのです。
見解の相違ではなく、明らかに間違いを言ったことに加えて、ただでさえ連日のコロナ対応でヘロヘロになっている職員が更に疲れ果てる姿を想像したら、上記のような基本姿勢の私でも今回ばかりは見過ごすことが出来ませんでした。
私の予感は当たってしまい、
『モーニングショー』玉川徹がスクープ報道?東京の感染者が39人に減ったが「実はすべて民間の数字」
という記事が出て、これを拡散するインフルエンサーが現れました。
室井佑月さんはこうツイートして、多くのリツイートを集め、
そうなんよ、これ観ててびっくらした。https://t.co/tQj9BpeCQS
— 室井佑月 (@YuzukiMuroi) April 28, 2020
上氏も同様でした。
『モーニングショー』玉川徹がスクープ報道?東京の感染者が39人に減ったが「実はすべて民間の数字」(水島宏明) – Y!ニュース https://t.co/LK5TXRyMao
● マスコミはどう報じるでしょうか?— 上 昌広 (@KamiMasahiro) April 28, 2020
こういった影響力のある発信は、世の中の空気を作ります。
実際には東京都福祉保健局は、27日のマスコミ発表の場で、検査について「行政検査がメインである」旨の説明を丁寧にしている記録もあり、明らかに玉川氏、岡田氏の話は間違いです。実際、東京都は番組宛に謝罪と訂正を求める抗議文を提出しました。ですので、番組で何かしらの対応があると思います。
玉川発言に乗っかった人々も正しい情報修正を
その上で、ヤフーの記事を書いた水島宏明氏や室井氏も上氏も、併せてご自身の発信の責任において誤報であったことを世間に報告すべきだと考えます。当然、SNSの世界では1人1人の情報網が異なりますので、そうやって間違って認識してしまったフォロワーに対して、間違いを正す拡散をして頂くことを求めておきます。
いくらネットにおける情報の発信、受信が当たり前になったとは言っても、キー局の放送で語りかけることがいかに影響力のあることかが、皆さんも認識されたことだと思います。特にスマホを持っていない視聴者の方々は、それ以外の情報がないのです。もし、訂正が番組であったとしても、それを見ることが無ければ、ずっと「行政は怠慢だ」と思い続けるのでしょう。本当に恐ろしい事です。
とはいえ、東京都の検査数発表にも問題がないとは言えません。
これを機に、都庁舎側も改善すべきがあれば着手するタイミングなのです。今は保健所以外でも民間検査が受けられるようになっているのですが、民間で検査を受けた場合の報告が遅れたり、その把握がリアルタイムに出来ていません。検査を受ける前から、各検査現場と東京都や保健所がダイレクトで情報共有できるシステムがあれば一番早いのですが、まだ構築されていないのです。
これはとにかく急ぐべきだと、今回あらためて強く申し入れしておきました。「◯曜日に◯件検査して、要請は〇件でした」とその都度、発表出来れば不安も解消されるし、極めて分かりやすいと思っています。
情報発信の難しさを感じる日々で
最後にしますが、私はコロナが日本でも感染が確認された頃からYouTubeでの発信を続けてきました。
それは、あくまで物の見方は一方向だけではなく、多角度から見ることが重要だということを多くの方と共有をしたかったからです。「都議会議員として仕事しろ」と多くの方に言われたものです。ポツンポツンと玉川さんの発言や報道ステーションの富川さんの話もしてきましたから、なおさら、そう感じている方は多かったかもしれません。
しかし、これも全て、私達が立ち向かっているコロナという敵に対しては、必要な情報だと思い、SNSを通じて発信してきました。
岡田さんや玉川さんが議員会館で取材をしていたのもよく知っています。でも、その情報を咀嚼して、他の角度の情報と突合してテレビで語っているのなら、良いのですが、どうもそうではなさそうだと言う視点で番組を見てきたのですが、さすがに今回は「やっちゃった」感が強かったのです。
先週の事でしたが、Web論座という朝日新聞のサイトで、朝日新聞記者が玉川氏を批判するという記事が発表されました。このことについて「どっちもいいかげんにして!」という動画をYouTubeチャンネルとして撮影して編集作業中のことでした。
私は27日に次期総理候補の1人に名前の挙がる政治家から「あまりジャーナリスティックにならないように頑張って」と言われて、もっと発信は政策提言メインでいかなきゃなと思い悩んで一夜明けたタイミングでのことでした。
いずれにしても発信すれば、色々な意見を頂きます。肯定的なものも否定的なものも全て受け止めて、自分自身を高めていきたいと考えています。自分が間違っている時は素直に謝ります。そういうスタイルで、僕は僕なりの物差しを持って、この世の中で真っ当にやっていきます。