総論賛成、各論反対になりやすいテーマではあるが、少々評判が悪い安倍総理にとって日本の歴史に名を残す大事業が飛び込んできた。
安倍総理の下での憲法改革は、見送ることである。
安倍総理が自ら持ち出してきた憲法改正4項目は、どう見ても本格的な憲法改正論議を導く魅力的なものにはなり得ない。
日本の現在の憲法は、いずれは改正して然るべき欠陥を内包したものだということは、私もよく承知しているのだが、だからと言って今、どうしても憲法の改正論議を優先するような状況にはない。
安倍総理は、一度の失敗に懲りないで、見事に復活を果たした希有の総理大臣である。
既に総理在任期間は歴代総理の誰よりも長くなっている。
憲法改正は何が何でも自分の手で、と、憲法改正を実現したことで日本の政治史に名を残すことを悲願とされていたようだが、客観的に見て近い将来、特に安倍総理の在任期間中に憲法改正が実現する可能性は、皆無である。
まあ、現在の自民党の国会議員の中には安倍総理の首に鈴を着ける人はいないだろうから、元自民党の衆議院議員である私から申し上げておく。
憲法改正の大事業は、後進の政治家に任せるべきである。
安倍総理は、目下の緊急事態に鑑み、自分の力で実現出来ることに全力を尽くすべき。
安倍総理がいつまで総理大臣としての仕事を続けられるのか分からないが、少なくともこれから数ヶ月の間は、何があっても総理の座から滑り落ちることはない。
さて、それでは、これから数ヶ月の間に、何をなすべきか。
更なる教育改革の推進と、9月入学、9月始業への切り替えである。
これが実現できれば、間違いなく安倍総理は、日本の政治史に名を残すことが出来る。
当然、文部科学大臣の萩生田氏も名を残すだろう。
文部科学官僚では、とてもこのような大改革は実現出来ない。
豪腕政治家、辣腕政治家と呼ばれるような政治力を存分に発揮出来るような政治家でなければ、まず言うだけに終わってしまうような大事業になる。
幸い知事会も、主要な国会議員も、大方の世論も、前向きである。
現場の市町村や教育者の一部からは反対の意見も出てくるだろうが、主要野党が賛成し、世論が味方につくようであれば、実現不可能なことではない。
如何かしら?
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年4月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。