ウイルス対策も国家の「安全保障」、専門の政治家を育てるべきだ!

朝まで生テレビ(4/24)より:編集部

田原総一朗です。
4月24日の「朝まで生テレビ!」は、新型コロナ感染問題について、とことん議論した。

4月18、19日、朝日新聞が世論調査を実施した。

感染拡大防止のために、「首相は指導力を発揮しているか」という質問に、
「発揮している」が33%、
「発揮していない」が57%。

政府の対応については、
「評価する」が33%、
「評価しない」が53%という結果だった。

安倍首相が緊急事態宣言を出したが、国民の半数以上は、評価していないことになる。
どこがいけなかったのか。

「朝生」に出ていただいた自民党の武見敬三さんは、「検査体制の拡充、医療の体制の支援など、政策は打ち出した。問題は、中央政府がやろうとしても、地方が実施するまでにものすごく時間かかる。そこに不満が出るのだろう」と、迅速性に欠けることを認めた。国民民主党の大塚耕平さんは、「戦時なのに平時のような法律の運用をしている」と批判した。

議論をして実感したことがあった。
僕はかつて中曽根康弘の首相時代に、日本の安全保障について取材したことがある。

当時、日本は「専守防衛」を謳っていた。
日本からは攻撃しない、
日本は守るだけーー。

僕は、「そんなことをしていたら敵にやられる、インチキじゃないか」と迫った。

すると中曽根首相は、なんとこう言った。
「闘うのは日本じゃない。アメリカに闘ってもらう、守ってもらうんだ。だから日米同盟を大事にする」。

中曽根さんが語ったように、戦後日本は、アメリカ頼みの「安全保障」でやってきてしまった。
これは戦争以外の今回のような感染症から国民の生命を守ることにも、同じことが言えるのではないか。

これほどの危機だというのに、日本ではなぜ強力な司令塔ができないのか。
大塚さんが言うように、なぜ「平時のようにしか」対応できないのか……。

与党議員である武見さんがこう言った。
「軍事の安全保障については、専門の、詳しい政治家は育った。しかし、今回のような感染症の安全保障については、まだ専門の政治家がいない」。

僕は武見さんのこの見解が、今後とても大事だと思った。

これからは、感染症分野の「安全保障」に詳しい、専門の政治家が現れなければならない。
いや、育てなければならないと思う。

初の中継出演(朝まで生テレビ 4/24)より:編集部)

今回の「朝生」は、私を含め出演者全員が中継での出演という、番組開始以来初めての形だった。

「朝生」は1987年の4月24日深夜にスタート。
奇しくも今回、同じ4月24日深夜の放送だった。

私の86回目の誕生日、4月15日には、堀潤さん、津田大介さん、猪瀬直樹さん、夏野剛さん、
乙武洋匡さんらと、web会議アプリ「Zoom」を使って大激論をした。

そのほか、Skypeで打ち合わせもするし、「激論!クロスファイア」もリモート出演した。

感染症対策とはいえ、こうした新しい技術に触れるのは、刺激的だ。

しかし、やはり僕は、人と直に会って話すのが、大好きだ。
早く新型コロナウイルスが収束し、何も気にせず取材し、たくさんの人と直接話せる日が来るのを祈るばかりである。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2020年5月1日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。