この度、コロナウイルスの感染への緊急経済対策として、1人当たり10万円が給付されることになりました。
この給付は、原則として、世帯分につき、世帯主にまとめて給付されることになっています。しかし、事情により、その方法が適切でない場合もあります。
いわゆるDV被害者に対しては、例外的に、被害者の分が、世帯主ではなく被害者に給付される制度があります。しかし、対象者は、配偶者から暴力を受けている場合、DV法における保護命令を受けている場合に限定されており、それ以外にも、世帯主に支給されるのを避けるべき場合があります。
例えば、DVはなくても、夫婦が別居している場合です。夫婦が直接やり取りをすることが現実的ではない場合や、世帯主である夫に支給されると夫がお金を独占してしまう場合は多くあると思います。
現在公にされている制度では、DV被害者の場合、以下の、「申出書」という書類を提出すればよいことになっています。「申出書」記載の添付書類も必要となっています。
「特別定額給付金受給に係る配偶者からの暴力を理由に避難している旨の申出書」の様式はこちら
しかし、上記のとおり、DV被害者以外の場合も、状況に応じ、DV被害者と同様に申請ができてしかるべきです。この点につき、ある市役所に相談、交渉をしたところ、DV被害者以外の場合でも、以下の方法で、DV被害者に準ずる場合として申請することができることになりました。
- 申出書の表題の「避難」から線を引いて、これに準じる場合と記載し、添付書類なしで提出する。
- 役所が面談で本人から状況を確認する。
役所により対応が異なることもあり得ますが、DVではない場合でも、直接支給を受けられるべき場合は多くあると思います。該当が考えられる方は、現在実際にお住まいの住所地の市区町村の役所に相談、確認し、難しいと言われても交渉してみて頂ければと思います。
なお、申出書の提出は、従前期限とされていた2020年5月1日以降でも可能となっていますが、給付の期限は申請可能となった日から3か月とのことで、それより前になるべく早く手続を進めた方がよいと思います。
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藤原 家康 (ふじわら・いえやす)弁護士
1976年生まれ。2001年弁護士登録(第二東京弁護士会)。出生から現在までの間の約30年、新宿区に居住。2013年、藤原家康法律事務所を開設(事務所サイト)。