アパはナゼ日本最大のホテルチェーンに躍進できたのか?

Like_the_Grand_Canyon/flickr:編集部

一昨日アパホテルについて書いたこの記事(アパホテルが目論む「ビジネスホテル1人勝ち戦略」)は、たくさんのアクセスをいただきました。

「目論む」と言う言葉から、ネガティブな感情を持っていると思われた方もいるかもしれません。しかし、私はアパグループと社長の元谷芙美子氏には、好感を持って、むしろ応援しています。

それは、同社のビジネスに対する姿勢が、極めて真っ当に見えるからです。

例えば、2007年1月にアパグループが所有する京都市内の2棟のホテルが、耐震強度偽装と報じられました。しかし、その件について「私たちは決して悪いことは何もしていないと神に誓って言える」と語っています。

この時、銀行からの融資が引き上げられ、泣く泣く保有物件を売却。ところが、その直後にリーマンショックが起こり、売却したことで結果的に難を逃れました。そして、下落した不動産を余剰資金で買いまくり、今の事業の礎を築いたのです。これは単なるラッキーでは無いと思います。

そして、もう1つの魅力は、インタビュー記事などと見ると、元谷氏が極めてポジティブな思考をすることで流れを引き寄せていることがわかります。

しかし、ポジティブ思考といっても、それは単に運が良いとかツイているということではありません。幸運とは自分で戦って勝ち取るものと考えています。だから幸せを掴むには、自分との戦いに勝つことが必要と説いています。人と比較したり、競争する人生ではなく、自分自身を信じることで、自分に勝ち続ける人生を目指すべきというのです。

それを、有言実行できているから、人にどう思われるとか、他の人がやっていないからといった思考にとらわれない。帽子を被って、メディアに露出して、批判を受けても、それを貫き通せる。そんな自由で、好きな生き方ができるのです。

アパグループに良いイメージを持っている人は、正直あまり多くないと思いますが、元谷氏に会ったら、きっとそんな感情も変わるのではないかと思います。いつかお会いしてみたいものです。

日本経済新聞社の「私の履歴書」には、失敗しないで出世した大企業サラリーマン経営者より、こんな方にこそ、是非書いてほしいと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年5月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。