国会で感染者の実数を質問する愚かしさ

山田 肇

5月11日の参議院予算委員会で立憲民主党の福山哲郎幹事長が新型コロナウィルス感染症の感染者実数を質問し、安倍総理大臣も尾身茂専門家会議副座長も答えられなかったと、朝日新聞デジタルが伝えている。読売新聞も記事にしている。

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参議院インターネット審議中継を見ると、録画開始30分前後に福山議員は次のように発言している。

世界中はこの無症状・軽症の方まで含めて検査を入れて感染者を出しているんです。それで実態を把握する中で解除の条件とか経済の回復などについて議論しているんです……。

福山議員は感染者の実数が把握できないから出口戦略が描けないと批判しているわけだが、他国は実数が把握できているのだろうか。「世界中」というからには多くあるのだろうから、福山議員はそれらの国々を示して、議論すべきだ。

PCR検査に力を入れてきたドイツでも感染者の実数は把握できていない。AFP通信は5月5日付でドイツにおける感染者実数は公式発表の10倍の可能性があると伝えている。

米国ニューヨーク州では、5月4日までに100万人が抗体検査を受け、32万人の感染が確認されたそうだ。州の人口にこの比率をかけて計算される感染者数の推計は、州がPCR検査で確認した感染者数の10倍を超える(参照:朝日新聞デジタル)。

感染者数が把握できないのは、福山議員自らが言うように、無症状の感染者が多いからだ。しかし、無症状で把握できていない感染者が10倍いるということは、致死率が1/10ということを意味する。これはむしろ朗報ではないか。

実効再生産数が一月前には1を切っているのに外出自粛を続けるのは何を根拠にしているのだろうか。緊急事態宣言解除に躊躇し「なますを吹く」政権に質問すべきことはほかにたくさんある。