ダイナースクラブはどこへ向かうのか?

内藤 忍

ダイナースクラブのプレミアムカード(写真)を解約することにしました。

アメリカン・エキスプレスのプラチナカードと同じ年会費13万円(税別)ですが、利用することが無くなり、サービスにもあまり魅力を感じなかったからです。

一番の問題は、そもそもカードを使える加盟店が少なく、国内でも利用できないケースが多いことです。海外に行くと、さらに使えない場合が多いので、海外旅行には持っていかなくなってしまいました。

そして、ポイントをマイルに交換する条件が今年から改悪され、その魅力もなくなってしまいました。

2020年2月1日の交換分からは、ANA以外の航空マイルへの交換レートが半分に減りました。しかも、マイルに交換できる航空会社は、私があまり使わない4社です。

デルタ航空 スカイマイル
ユナイテッド航空 マイレージプラス
アリタリア-イタリア航空 ミッレミリア
大韓航空 スカイパス

ANAのマイル交換も年間4万マイルまでに制限されていますから、カードを使っても利用目的の無いポイントが貯まってしまうだけになってしまいます。

同じ年会費を払うのであれば、カードを利用できるお店が多く、マイルの交換先や交換レートの良いアメリカンエキスプレスの方が良いと判断しました。

かつては、クレジットカードにはステイタスがありました。ダイナースクラブは世界最古のクレジットカードとして、高いブランドイメージを維持していました。

しかし、今やクレジットカードにブランド力を求める人はあまり多くありません。また、そもそもダイナースと言うブランドも、かつてほど認知度は高くなく、保有することに特別感はありません。

VISAやマスターだけではなく、アメックスと比べても、利用できるお店が限られているダイナースクラブは、利便性以外の面で差別化しなければなりません。

特に競合するアメリカンエキスプレスと比べ、サービス面での優位性がなければ、知名度に勝るアメックスに顧客は流れていきます。ダイニングイベントの先行案内やカード保有者限定のイベントなども企画していますが、私にはあまり魅力を感じるものは見つかりませんでした。

ダイナースクラブは、どこに向かっているのでしょうか。このままではカード会員が減少し、収益の低下からサービス内容を改悪するという「ネガティブスパイラル」に陥るのではないかと危惧します。

ダイナースクラブは日本では、富士銀行、シティバンクと親会社が変わり、現在は私の古巣である銀行のグループ会社となっています。何だか他人事に思えず心配です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。